研究課題/領域番号 |
21K13379
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
幸田 圭一朗 広島経済大学, 経営学部, 准教授 (10734006)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ベンチャー企業 / ベンチャーキャピタル / 株式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,ベンチャー企業による「種類株式」の発行が,ベンチャーキャピタル(VC)など投資家に対する投資誘因となるのか,実証的に明らかにするものである。近年,ベンチャー投資においては,議決権や優先的な配当権などのさまざまな権利が付与された「種類株式」が発行されるようになっている。そこで,本研究により,ベンチャー企業が発行した「種類株式」の発行とVCなどの投資家の投資との関係を明らかにするため,各種「種類株式」の権利を分類することにより,未上場期のベンチャー投資の財務データを活用した実証分析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は,ベンチャー企業による「種類株式」(議決権や優先的な配当権などのさまざまな権利が付与された株式)の発行と,ベンチャーキャピタル(VC)などの投資家との間における関係性について,実証的に明らかにすることを目的としている。具体的には,各ベンチャー企業の登記簿をもとに,配当に関する優先権や,企業経営に参画する議決権,取締役会への選解任権などの各種権利を分類することにより,対象を細分化したうえで,企業への投資促進へとつながっているかを検証するものである。 令和4年度の研究実施にあたっては,令和3年度スケジュールの変更に伴い,「理論分析」「実証分析(データ収集を含む)」「研究報告」の3点を並行して進めてきたが,「実証分析(データ収集を含む)」については,遅延している状況にある。 まず,文献を中心とした先行研究を紐解く「理論分析」については,追加資料を含めて,いっそう深化させてきた。具体的には,本研究の対象である「種類株式」に限らず,エクイティファイナンス全般を取り上げ,「株主間契約」やM&Aとの関係性など,分析にあたって考慮すべきことが抽出されてきた。また,上場における価格形成などの諸要件によって,投資側のインセンティブが異なり,それが,「種類株式」の設計へと影響を及ぼすことから,ベンチャー投資全体を包括的に捉える必要性についても,明らかとなった。そして,これらを踏まえて,予備的「研究報告」も実施したところである。 以上のような,これまでの研究成果は,「種類株式」の活用にあたる理論的な位置づけをより強固にして,VCなどの投資家にとって有効な手段であることを示唆するものであり,実務的にも有益かつ重要な知見であることが窺われる。しかしながら,その確かさを論じるためには,実証的な検証が必要不可欠であり,引き続き,完成につながるよう進めていく次第である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は,令和3年度スケジュールの変更に伴って,年度単位の遅れを前提としながら令和4年度を迎えたが,その遅れが引き続き影響を及ぼしている。 申請時に計画した研究スケジュールでは,令和3年度に「理論分析」「実証分析(データ収集を含む)」,とくに登記簿データの収集(半分程度)を予定しながら,令和4年度にて,残りのデータ収集の完了ならびに計量分析を計画していた。ところが,資料収集を中心とした「理論分析」については,当初の計画どおり,順調に進展してきたものの,データの収集は,年度単位での遅れが発生している状況にある。 まず,昨年度の計画変更に伴って,資本政策データベース(ベンチャー企業の未上場期の資本調達に関するデータベース)を購入・契約するため,令和3年度の予算に加えて,令和4年度の交付額を充当することで,その解決を図っていくものとしていた。これは,本研究を遂行するにあたり,想定していた, IPO企業の登記簿データの指標化と,IPO企業に対するベンチャーキャピタル(VC)などの投資情報を組み合わせた分析を実施するうえにおいて,必要不可欠なツールである。 しかしながら,新型コロナウイルス拡大に伴う緊急事態宣言や移動制限などの解除に伴って,関係者へのヒアリングなどの意見交換を行ったところ,本研究の遂行にあたっては,別途,優先すべきデータの存在や,代替手法の検討など,いくつかの迷いが生じ,対応策を検討している中で,結果的に年度を跨ぐこととなってしまった。したがって,実証的な検証については,さらなる遅れが生じている。 一方で,「理論分析」「研究報告」は順調ながらも,いまだに,データの収集という中心となる部分において,年度単位の遅れが見込まれていることから,総合的に勘案して,「遅れている」と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後について,年度の延長も視野に入れつつ,研究計画を再変更する。「現在までの進捗状況」の欄にもあるとおり,「理論分析」については,当初のスケジュールに沿っており,「研究報告」についても少しずつ実施できている状況にあるが,「実証分析(データ収集を含む)」については,大きな遅れが生じており,令和5年度においては,必ずやり遂げなければならない。 そのため,本研究において必要不可欠と位置付けている資本政策データベース(ベンチャー企業の未上場期の資本調達に関するデータベース)について,7月までには,その取り扱いを決定する。そのうえで,同データベースのデータと他財務データとの照合を進める,もしくは一般社団法人 民事法務協会 登記情報利用サービスを活用した,IPO企業の登記簿の取得を進めるなど,具体的な研究活動に取り組んでいくものとする。 また,本研究を遂行するにあたって懸念すべき課題としては,予算の制約の中で取得したデータが,どの程度欠損値がなく分析できるのか,という点にある。そこで,本研究は,その目的である原点に立ち返ったうえで,ベンチャー企業の投資データの取得を最優先と位置づけ,研究予算を有効にできるようなリソースの活用を,最大限行っていくものとする。 なお,引き続き,令和4年度後半より実施が可能となってきた,関係者へのヒアリングや学会への参加・報告なども,しっかりと実施していきたいと考えている。そのうえで,早急な研究の完成を目指すものとする。
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