研究課題
若手研究
「流通近代化」とはなんであるのかを精査して再定義し、フィリピンの流通近代化の特徴を明らかにする。高度に発展した経済と発展途上の経済では、流通近代化のプロセスが異なる可能性がある。本研究では発展途上の資本主義国の事例として、研究蓄積の薄いフィリピンを選択し、資料収集と実態調査を行う。流通近代化は、①中小小売業の競争力強化、②チェーン経営形態による流通効率化、③卸売業の機能高度化、④不合理な商慣行の是正、が日本研究から炙り出されている。本研究ではこの4点を分析視角として進める。
先行研究の整理や統計データの収集、現地調査によりフィリピンの流通近代化は伝統小売業を残したまま近代小売業が発達したところが特徴であると明らかになった。フィリピンでは古い流通のシステムを残しつつ、近代化が進んできた。さらに、巨大財閥は小売業だけでなく金融業、不動産会社も保有、系列化することにより店舗の大型化を進め流通近代化を加速化させている。しかし、伝統小売業のなかには近代小売業に転換する店舗もあるが、伝統小売業を残したまま支払い手段にキャッシュレス決済を取り入れる店舗や仕入れ先のシステムを用いて受注発注や在庫管理等をおこなうなど、新しい技術を取り入れ進化した店舗もある。
高度に発展した経済と発展途上の経済では流通近代化のプロセスが異なる可能性がある。これまで先進国においては近代小売業の出現と増加に伴い、零細小売店をはじめとする伝統小売業が廃れていく傾向にあったが、フィリピンにおいてはこの状況が当てはまらない。現在、フィリピンは都市部を中心に大きな経済発展をとげており、経済や流通が革新を続けているなか、フィリピン各地域の経済格差も見受けられる。近代小売業と伝統小売業が混在するこの時代の変革期において、フィリピンの現状を記録すること、他国との流通革新の違いを記録に残すことは社会的にも学問的にも重要である。
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月刊グローバル経営
巻: 2021年11月号 ページ: 10-11
政策科学
巻: 29 号: 1 ページ: 111-112
10.34382/00015401
120007167929
https://ritsumei.repo.nii.ac.jp/records/15430