研究課題/領域番号 |
21K13402
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
古賀 裕也 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (40780383)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 近視眼的行動 / 利益マネジメント / 四半期開示 / 外国人株主 / メインバンク / 所有構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、日本の金融業を除く上場企業を対象に、メインバンクによるガバナンスが企業の近視眼的行動(managerial myopia)にどのような影響を与えるかを検証する。メインバンクを中心とする融資やモニタリングは日本の伝統的な制度的特徴としてあげられた。しかしながら、日本企業の所有構造は大きく変化しており、メインバンクの機能が弱体化しているといわれている。本研究では、メインバンク制に着目し、企業の近視眼的行動への影響を時系列で観察する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本企業の所有構造とガバナンス体制の変化が企業の近視眼的行動にどのような影響を与えているかを実証的に検証することである。具体的には、1990年代後半に生じた持合株式の解消とメインバンク制の崩壊に焦点を当てて、企業の近視眼的行動を調査する。経営者の近視眼的行動とは、長期的な投資活動による利益を犠牲にし、短期的な利益を増加させる行動をいう。2022年度の研究実績は以下の通りである。 第1に、近年注目されている報告頻度と近視眼的行動に関するレビュー論文を執筆した。財務報告による情報の非対称性の減少やモラルハザードの抑制といった正の側面について多くの研究蓄積がされている。一方で、財務報告の透明性の高まりが、歪曲的なモラルハザードである近視眼的行動を助長する可能性を指摘する証拠も提示されている。 第2に、2022年度では報告頻度と近視眼的行動の関連性に、所有構造の変化の視点を加え実証研究を行いワーキングペーパーを執筆した。この論文では四半期開示の強制適用後に近視眼的行動が増加したか、外国人株主やメインバンクの持株比率がこうした近視眼的行動にどのような影響を与えるかを調査した。このワーキングペーパーにおいては近視眼的行動の代理変数として実体的裁量行動を用いた。調査の結果、四半期開示後の強制適用後に近視眼的行動(実体的裁量行動)が増加していることがわかった。また、その影響は外国人株主が多い企業で顕著であった。本研究は海外学術誌に投稿し、現在コメントの対応中である。 第3に、かねてより分析を進めていたその他有価証券(持ち合い株式)の売却行動に関するワーキングペーパーを執筆した。この研究ではリサイクリング行動に焦点をあて、経営者予想利益を達成するためにその他有価証券の売却行動が実施されることを明らかにしている。本研究は海外学術誌に投稿し、現在、査読結果を待っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はレビュー論文の執筆、ワーキングペーパーの執筆と論文執筆に着手することができた。1編は公表し、2編は本研究の目標である海外学術誌への投稿をすることができた。そのため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は所有構造の変化が近視眼的行動に与える影響について引き続き検証を行う。具体的には所有構造の変化があったタイミングにおいて近視眼的行動にどのような影響があったかを検証する。加えて、四半期開示が強制化されたタイミングで近視眼的行動が生じるのか、所有構造の影響はあるのかについて引き続き研究を実施する。
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