研究課題/領域番号 |
21K13404
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
棚橋 則子 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (20783848)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 会計ベータ / リスク / 経営者予想 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、(1)日本の会計情報(実績利益や経営者予想利益など)を用いて会計ベータ値を推定し、それが資本資産評価モデル(CAPM)や3ファクターモデルなどのファクターベータよりもリターンの説明力を有するのか、(2)会計ベータ値を推定する際、全上場企業の集約利益ではなくマクロ経済指標を用いた場合でもリターンの説明力を有するのか、の2点を明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
2023年度は,本研究課題と同様の研究テーマに関して近年公刊された論文の考察と,日本企業のデータを用いた際の実証分析の方法に関する検討を行った。 本研究課題と同様の研究テーマに関して近年公刊された論文として,中野・縄田(2022, 証券アナリストジャーナル)と中野・縄田(2023, Disclosure&IR)がある。中野・縄田(2022)では,四半期利益データを用いてEllahie(2021, Review of Accounting Studies)に依拠しつつ,複数の会計ベータ値(経済全体の利益変動に対する個別企業利益の感応度)を推定し,それらが従来から用いられている市場ベータ値と同様以上のリターンの説明力があるかどうかを検証している。分析の結果,包括利益を用いた会計ベータ値の将来リターン説明力が高く,システマティックリスクの尺度として適切であることが述べられている。また,中野・縄田(2023)では,ある非上場企業の会計データを用いて,Ellahie(2021)に基づいた3つの会計ベータ値を推定・検証している。会計ベータ値は株価などの市場データを用いないため,非上場企業,ひいては,事業部レベルでも計測することが可能である。株価データを用いる市場ベータ値の推定では決定係数が極端に低い場合もあるが,今回推定した会計ベータ値にはそのようなことはなく,結果は安定的であることが示されている。 昨年度に執筆したレビュー論文で指摘した通り,キャッシュフロー・ベータ値の構成要素のうち「市場全体のキャッシュフロー・ニュースに対する個別企業のキャッシュフロー・ニュースの感応度」が特に重要であり,このキャッシュフロー・ニュースをどのように推定するのかが重要な課題である。会計ベータ値の背後にあるファイナンス理論もふまえたうえで,実証分析の方法を検討していく必要があるのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は,2022年度に実施した文献レビューをふまえ,実証分析のリサーチデザインを検討し,簡単な分析を行うことを予定していたが,新規業務の発生などにより,研究の進捗に影響が出てしまった。そのため,本研究課題の現在までの進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究の内容をふまえ,2023年度に更新を行ったデータを用いて,会計ベータ値の実証分析を行い,論文としてまとめることを目指す。
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