研究課題/領域番号 |
21K13406
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
木村 太一 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 講師 (10779771)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 参照点依存効用関数 / モラルハザード / 主観的業績評価 / 非線形報酬契約 / 業績評価 / モラル・ハザード / マネジメント・コントロール / 目標設定 / 非線形契約 / 行動契約理論 / 分析的会計研究 |
研究開始時の研究の概要 |
非線形な報酬契約は、マネジャーに機会主義的な行動を取らせてしまうことから非合理的な報酬ルールであると考えられる。それにもかかわらず、目標達成を条件にした非線形な報酬契約は、実務で広く用いられている。これはなぜだろうか、というのが本研究の根本的な問いである。本研究では、目標と実績の差に対して効用あるいは不効用を感じる参照点依存効用関数を持ったマネジャーを想定し、数理モデル分析を実施する。これによって、非線形な報酬契約の有用性はどこにあるかを明らかにするとともに、またどのような状況にあれば非線形な報酬契約が効率的になりうるのかを明らかにすることが、本研究の目的である。
|
研究実績の概要 |
本研究では、非線形な報酬契約や参照点依存効用関数に注目した理論的分析を実施している。当年度は、主観的業績評価のモデルに参照点依存効用関数を応用した分析を実施した。主観的業績評価では、評価者が私的に被評価者の業績を観察する。たとえば、「被評価者の仕事ぶりは優秀だった(優秀でなかった)」という評価は、評価者のみが観察できるのであり、被評価者は観察することができない。「仕事ぶりが優秀だった場合には特別賞与を支払う」という取り決めがあったとしても、評価者は賞与支払いを渋って「被評価者の仕事ぶりは優秀だった」という主観的業績を観察したにも関わらず、「被評価者の仕事ぶりは優秀でなかった」とウソをつくかもしれない。一方で、被評価者も自身の仕事ぶりに関する自己評価を私的に観察するはずである。こうした自己評価は被評価者のみが観察できるのであり、評価者は観察することができない。被評価者は、自身の自己評価に基づいて「(この自己評価なら)特別賞与をもらえるはずだ(もらえるはずがない)」という期待を形成する。このとき、自己評価にもとづく期待報酬額と、評価者の主観的評価にもとづく実際報酬額の間に乖離が生じた場合、被評価者はその乖離から何らかの効用を得るだろう、というのが今回の分析における設定である。この設定をモデリングするために、本稿ではKoszegi and Rabin (2006) で導入された参照点依存効用関数を応用している。 分析の主要な結果は次の通りである。被評価者の楽観性(被評価者が高い自己評価を得る確率)が高まると,期待報酬額が実際報酬額を下回る可能性が高まってしまう。そのため、期待報酬額が実際報酬額を下回ったことによる損失感情を補うため、経営者はより多くの金銭的インセンティブを被評価者に支払わなくてはならなくなる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度まで分析していたモデルの分析が思うように進まず、当年度分析モデルを大幅に変更した。そのため、研究の進捗は当初予定したものよりも遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、このモデルの分析をさらに進め、国内外の学会や研究会で研究報告を行う予定である。年内の論文投稿も目指している。
|