研究課題/領域番号 |
21K13417
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
里村 和歌子 九州大学, 比較社会文化研究院, 学術研究員 (70837955)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 沖縄 / 米軍基地 / 社会運動 / ポストコロニアリズム / ジェンダー / フェミニズム |
研究開始時の研究の概要 |
近年、沖縄への米軍基地の過重負担の現状を受け、沖縄の女性たちから基地は「日本人」も公平に負担すべきであるという県外移設の声が生まれた。しかし一方で、軍隊による性暴力の「痛み」はどこにも移譲できないとの批判が寄せられた。結果として議論が膠着し、一地域への基地集中という課題解決の議論につながらない現状がある。 そこで本研究は沖縄の米軍基地をめぐる女性たちを中心とした社会運動当事者が、ジェンダー関係、植民地支配関係の二つのポジショナリティをどう把握、節合、克服していくのかをその「声」から明らかにすることで、複数のポジショナリティを踏まえたフェミニズムの連帯可能性を理論的に探究する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、沖縄の米軍基地過重負担という喫緊の解決が求められる政治的社会的課題に対し、ポジショナリティの複数性を踏まえた女性同士の連帯可能性を理論的に探求することである。複数のアイデンティティズのなかでの女性たちの連帯可能性は、模索されながらも第二波フェミニズム以降現代フェミニズムが未だ乗り越えることができない学術的課題となってきた。本研究は、フェミニズムが思想であると同時に運動であるという側面を踏まえ、既存の学問ならびに社会運動との連携を念頭におきつつ、日本におけるジェンダーとポストコロニアリズム研究の存在意義を理論的、かつアクチュアルに補強することを目指している。 令和4(2022)年度はコロナ禍を切り抜けながら、沖縄の基地の過重負担解消、さらには沖縄差別解消を目的に「本土」で活動する基地引き取り運動の関係者ら5名への聞き取り調査、沖縄で脱植民地を目指す社会運動や言論活動に携わる女性たち3名への聞き取り調査を実施した。これらの活動からは方法論的課題として、聞き取り調査における調査者としての無意識の権力性が浮上し考察の必要性に迫られた。さらに理論的課題としては、日本において抑圧の類縁性を探る概念として受容されるインターセクショナリティ概念と、差異を浮かび上がらせるポジショナリティ概念とのグラデーションについて再検討する必要があるという認識に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4(2022)年度は大阪、沖縄、福岡、ならびに遠隔会議を利用し、学会や研究会において活発な研究成果の発表をおこなった。これらの活動によって沖縄での聞き取り調査の不足、インターセクショナリティ概念の導入の必要性などの重要な指摘を得ることができ、聞き取り調査と並行して今後検討をおこなうことになった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5(2023)年度はここまでの調査結果を分析、まとめると同時に理論化の作業をすすめていく。またインタビュー調査は継続して実施していく。具体的には「本土」で軍事性暴力の根絶を目指す女性たち、ならびに沖縄で反戦平和運動に携わっている女性たちへの聞き取り調査をおこなう。それらの成果報告の一部として、国内外の学会において研究発表を予定している。また、最終年度に開催予定の既存の学問と社会運動とを架橋する対話シンポジウム開催に向けた企画調整もスタートする。
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