研究課題/領域番号 |
21K13419
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 長野大学 |
研究代表者 |
矢野 亮 長野大学, 社会福祉学部, 教授 (00755324)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 歴史社会学 / 地域社会学 / 福祉社会学 / 社会福祉学 / 社会福祉政策 / 限界集落 / 過疎 / 生存保障システム / 最低生計費 / 貧困 / 公共政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,公共政策の歴史的経緯を踏まえ,限界集落論のなかにすでに内在されていた福祉政策的視角,すなわち「現代的貧困の蓄積地域」としての限界集落における生活保障の重要性を,ポストコロナ渦で予測される貧困問題も射程に含みつつ再提起し,限界集落における社会福祉政策の実効性を具体的に明示することを目的とする.方法として,第一に,これまでの予備的研究結果をふまえ,対象を長野県に戦略的に限定したうえで歴史社会学的な資料分析を通じた「合併」と自治体間格差の現状を明らかにし,第二に,マーケット・バスケット方式による最低生計費試算調査をもちいて,個人・集団間レベルの格差までを把握する.
|
研究成果の概要 |
本研究では、限界集落化している地方圏域の中でも、特にその進行が顕著である長野県を対象に、どのような福祉政策と諸実践がローカルなコミュニティで展開されてきたのか、また、現在、いかなる政策と施策が人びとの生存保障とウェルビーイングを実現しているのか、という問いを設定し、解明してきた。方法として、資料分析や文献研究に加え、世代別生活充足度調査や最低生計費試算調査等の量的調査と現地調査や聞き取り等の質的調査とを組合せた。結果、ローカルなコミュニティでは少子高齢化・人口減少の進行に伴い、早期に「福祉ダイアモンド」へと施策のパフォーマンスが変化したが、新型コロナ禍でそれが後退したこと等が明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究成果の学術的・社会的意義として,第一に,地方における〈社会的なもの〉を歴史社会学的な視角から「地方社会課」を主軸として明示しえたことは,2022年度の『社会福祉学』歴史部門でも記載されている通り,大きな業績であった.第二に,行政主体のアウトリーチ活動が条件不利地域で暮らす住民への資源供給に寄与し,人口減少に歯止めをかけてきた点を実証しえたことは,過疎地域における「ケアの脱家族化」と現象している「ケアの再家族化」を考察する上での重要な基礎データとなった.最後に,過疎地域での最低生計費試算を通じて社会関係に覆われた所得状況等を把握できたことは,限界集落の福祉政策を考える上での布石となった.
|