研究課題/領域番号 |
21K13422
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東北文教大学 |
研究代表者 |
吉田 耕平 東北文教大学, 人間科学部, 准教授 (80580836)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 子どもの医療化 / 発達障害 / ADHD / 向精神薬 / 社会的養護 / 児童養護施設 / 医療社会学 / 福祉社会学 / 医療化 / 子どもの問題行動 / 精神医療 / 子ども福祉 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、医療社会学の医療化論(Conrad and Schneider 1992=2003)の視座から子どもの問題行動が医療の問題として解釈されるようになり、ADHD(注意欠陥多動性障害)という診断名が付与されるようになった経緯を探ることが目的である。特に、日本の社会的養護を担ってきた児童養護施設において、問題を起こした子どもがADHDの診断を受け向精神薬投与に至っているという事例が増加している点を検討する。
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研究実績の概要 |
研究の3年目にあたる本年度は、①児童養護施設と「子どもの医療化」に関する資料を収集し論文化作業、②全国約600ある児童養護施設に対して質問紙調査を行った。 ①の成果は、土屋敦・藤間公太編『社会的養護の社会学―家族と施設の間にたたずむ子どもたち―』(青弓社 2023年)「第5章 児童養護施設の職員は子どもの医療化とどう向き合ったのか」(pp.158-188)にまとめた。本書では、いつ頃から「発達障害」の診断を受ける子どもが施設に入所するようになったのか。また「発達障害」の診断を受ける子どもが増加する中で、施設での子どもの養育にどのような変化が生じているのか検討した。 ②に関しては、①の成果を踏まえつつ、まず研究会で2022年8月と調査開始前の2023年9月の2回にわたって本研究に関する報告を行い、複数の研究者から子どもの医療化に関する情報提供を受け質問紙調査の準備を進めてきた。これらの研究会によって得られた知見をもとに、2023年10月に全国約600か所ある児童養護施設を対象とした「児童養護施設における子どもの医療的ケアに関する全国調査」を実施した。この調査では、子どもの生活施設である児童養護施設においていつ頃から発達障害(特に、ADHD)の診断を受けた子どもが入所するようになったのか尋ねたほか、ADHDの診断を受けた子どもに加え、薬物療法に至った子ども、現在治療に用いられている向精神薬などを中心に質問した。今後は、児童養護施設における子どもの医療化の進行について、収集したデータを分析し一定の法則性や共通点を見出し、その分析結果は次年度以降に公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請段階において研究の最終年度にあたる本年度は、質問紙調査のデータを分析し、児童養護施設における子どもの医療化に関する新たな知見を得る予定であった。また研究協力施設で日々子どもの支援にあたっている施設職員へのインタビュー調査も計画していたが、いずれも新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の蔓延に伴い、当初予定していた研究活動が実施困難な状況にあった。研究期間を延長し、2024年度はこれまでに得られたデータを分析し、調査結果については研究会等で報告し論文化作業を進めていく。以上のことから、計画していた研究活動を実施することはできたものの、当初の予定から遅れているため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
前項で述べたとおり、研究初年度から本年度にかけて新型コロナウィルス感染症の蔓延により一部の研究活動が制限されてきたことから、申請当初に予定していた活動を延期せざるを得ない状況が続いていた。今後の研究活動としては、昨年度までに残した課題を可能な限り遂行すると同時に、当初予定していた最終年度の課題が終えられるようにする。具体的には、2023年度の全国調査で得られたデータを分析し、児童養護施設における子どもの医療化の実態把握に努めつつ、ADHDの拡大の要因などについて考察を加える。
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