研究課題/領域番号 |
21K13426
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 立教大学 (2023) 明星大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
本多 真隆 立教大学, 社会学部, 准教授 (60782290)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 近代家族 / 家 / 夫婦関係 / 民主主義 / ジェンダー / セクシュアリティ / 戦後史 / マルクス主義 / 恋愛 / 性愛 / 戦後 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦前期の家族規範からの転換が目指された、1945-60年代における夫婦関係、特に性愛と「民主主義」に関する議論を追跡し、「日本型近代家族」の情緒的関係に関する基礎的視角を導出することを目的とする。具体的には、パートナーシップ関係と「民主主義」に関する諸研究の文献研究、1945-60年代に湧出した夫婦の性愛と「民主主義」に関する議論の言説分析を通してこの課題に応える。
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研究実績の概要 |
本研究は、戦前期の家族規範からの転換が目指された、1945-60年代における夫婦関係、特に性愛と「民主主義」に関する議論を追跡し、「日本型近代家族」の情緒的関係に関する基礎的視角を導出することを目的とするものである。調査は以下の三点にわたって行われる。[調査①]性愛関係、パートナーシップ関係と「民主主義」に関する近年の国内外の諸研究に関する文献研究を通して、論点を整理し、戦後日本の民主化論との接合点を検討する。[調査②]1945-60年代の学術的、規範的な家族論において、夫婦の性愛関係と「民主主義」がどのように論じられ、戦前期の家族規範の再編に連なったかを明らかにする。[調査③]1945-60年代の一般書や大衆誌等のマスメディアにおいて、夫婦の性愛関係と「民主主義」がどのように描かれ、一般読者に受容されていたかを明らかにする。 2023年度は、「調査②」[調査③]の資料収集と分析、そしてその一部を用いた書籍を刊行した。調査はほぼ完了したが、資料収集の過程で新たな文脈を発見し、2024年度の調査に繋げる予定である。 新たな文脈のひとつは、男性のジェンダーに関する言説である。調査対象となる時代は、男性にとっても家制度の「家長」としての役割が薄らぎ、人生観や夫婦関係への影響をもたらした。この文脈については、2023年度刊行の書籍でも部分的に言及したが、今後さらに深めていく。また並行して、[調査②][調査③]を踏まえた論文を執筆する。 ほか、本研究の成果を踏まえ、戦前戦後に活躍した有賀喜左衛門の家研究に関する論文を書籍に掲載した。また、現代社会における性愛関係と「民主主義」に関する基礎理論である、アンソニー・ギデンズの「親密性」に関する論考も書籍に掲載した。本研究をもととした近現代日本の家族観の変遷に関する講演を、官民交流の場でも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通り、資料収集と分析は行われ、書籍刊行などの成果もあげている。 また新資料の発見や、当初の計画にはなかった書籍の刊行にも本研究の成果は生かされている。本研究の成果を踏まえた新機軸の研究の萌芽もみられる。そのため、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
調査結果を踏まえ、論文執筆を行う。新資料の男性のジェンダーに関する言説は、2023年度に引き続き高度経済成長期の男性保守論者の家庭論をみるほか、これまで収集した資料を見直す予定である。「家」から「近代家族」への家族変動に応じた男性のジェンダー役割の変化という文脈だけでなく、海外の家族論の影響や、階級的な視点も考慮に入れることを検討している。 また、収集した資料をまとめあげるために、歴史社会学の方法論についても改良を加える予定である。この点は、別途論文の作成を予定している。
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