研究課題/領域番号 |
21K13431
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 人間環境大学 |
研究代表者 |
谷川 彩月 人間環境大学, 環境科学部, 講師 (60895811)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 環境保全型農業 / 稲作 / 畜産 / スマート農業 / 人間ー動物 / カブトエビ / 環境社会学 / 農業従事者 / ジェンダー / 有機農業 / 農村社会学 / 農業労働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多様化しつつある農業労働・農業従事の意味性を類型化し、農業労働の現代的な意義を解明すること、およびこうした知見をもって農村社会学・労働社会学・家族社会学にて議論されてきたジェンダー役割・規範論の精緻化を図ることを目的とする。 この目的を遂行するために、本研究では農業従事者の質的多様化と付加価値型農業の普及による農業そのものの多様化といった現代農業にかかわる2つの多様化に着目し、ライフコースあるいはキャリアパスとしての多様な就農状況と、就農に対する多様な労働観について明らかにしたうえで、ジェンダー間比較を通して、2つの多様化がジェンダー間でどのように異なるのかを検証する。
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研究実績の概要 |
本年度は、宮城県登米市にてフィールドワークを実施し、コメ生産現場の現状を把握した。フィールドワークでは、以下のことが明らかとなった。まず、現地は県内有数の畜産業がさかんな地域であり、家畜の糞は市町村合併前の旧町域区域に1軒ずつ建設された堆肥センターへと持ち込まれ、そこで肥料化されることで地域内での循環型農業が可能となっていた。また、新米の初検査に立ち合い、本年度のコメの出来やカメムシ米の混入率などのデータを得た。これらに加えて、地域内の大規模農家へインタビュー調査を実施し、スマート農業の導入状況やその課題を稲作と畜産の観点から尋ねた。以上のフィールドワークをもとに、日本村落研究学会が主催する研究会にて発表を行った。 また、本年度は投稿論文の執筆にも励んだが、残念ながら掲載には至らなかった。未発表となった草稿については、改めて修正・データの追加等を施すことを次年度の課題としたい。 その他、海外のAnimal Studies、Environmental Sociology、Rural Sociology等の文献を読み、研究の精緻化に努めた。文献調査の結果として、Animal Studiesの多くは人間例外主義・人間中心主義を批判するという前提を共有しているということが明らかとなった。こうした研究潮流を、いかにして自身の研究に活かしていくのかを次年度以降も検討していきたい。また、Environmental SociologyとRural Sociologyは日本にも独自の学会が存在するが、研究潮流は必ずしも共通していないことがわかった。そのため、自身の研究の枠組みとしてどういった研究のどの部分を採用していくかについては、次年度以降も引き続き検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子どもが生まれてからフィールドワークに出かけることが難しくなり、当初の計画通りには進んでいない。また、昨年度は予定していた調査を先方に断られ、研究計画を変更せざるを得なくなった。以上のことから、進捗状況はやや遅れていると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、次の2点を軸としたい。まず、フィールドワークについては、引き続き宮城県登米市を主な調査対象地とするとともに、勤務先のある愛知県内にも調査先を広げていきたい。具体的には、勤務先のある岡崎市を調査地とし、有機農産物等の学校給食への利用実態を明らかにしたい。次に、文献調査の結果を活用したり、オンラインでのアンケート調査を企画するなどして、フィールドワークから得るデータ以外でも研究成果を出していきたい。フィールドへ行く機会が減少し、なかなか思うように研究成果が上げられないというのは、子どもを持ったフィールドワーカーの多くが直面する課題であると予想されるため、女性研究者同士で積極的な情報交換を行うなどしてよい策を見つけていきたい。
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