研究課題/領域番号 |
21K13440
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
佐藤 圭一 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40757093)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 政策過程 / 社会ネットワーク分析 / アドボカシー連合論フレームワーク / 制作ネットワーク / 数理社会学 / 政策過程論 / 政策ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
アドボカシー連合論(ACF)は、政策過程の分析において幅広く用いられている分析枠組みである。ACFは政策信念を共有する団体や個人からなるまとまりを連合と定義し、この連合間の対立の過程を扱う。しかし、この連合をどのように析出するのかに関する手法が確立されてこなかった。本研究はアドボカシー連合論インデックス(ACI)という社会ネットワーク分析に基づいた指標をもちいて、この連合の析出とその政策過程へのインパクトを体系的に分析しようとするものである。
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研究実績の概要 |
2023年度は、アドボカシー連合論インデックス(ACI)およびそこから展開させた手法を用いた理論的・実証研究論文の執筆・刊行が特に大きな研究実績である。 (1)Nagel, Satoh, Henry(2023)においては、日本とドイツの気候変動政策にかかわる審議会メンバーの所属ネットワークデータをもとに、両国で審議会という場を通じてどのようなメンバー共有関係が起こっているのかを分析した。審議会という場で政策情報やアイデアの共有が行われ意見の統合が行われることを前提とした場合、両国ではこの意見統合のあり方に大きな違いがあることが明らかになった。 (2)Weible et al.(2023)においては、ACIのアイデアのもととなっているアドボカシー連合論の直近10年の理論的・実証的研究のレビューを行った。この中でACIも重要な理論的革新として紹介する内容となっている。 (3)佐藤・梁(2024)においては、ACIの指標を用いつつ、エージェント・ベースド・モデリングの手法を用いて、権力配分の不平等が促進・緩和する条件を探った。社会ネットワークにはいくつかの普遍的な形成原理があることが知られており、三者間閉鎖のうち推移性と供給源共通性と概念化できる特性は不平等を促進する一方、互酬性、同質性、三者間閉鎖のうち供給先共通性は緩和していた。以上の結果から、互いに支え合う社会、意見の違いを許容する社会、そしてローカルな場面でアクターが協働しあう社会は、結果的に権力配分を平等化させていることが理論的に導かれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アドボカシー連合論インデックスに関連した理論的・実証的研究論文を3本刊行することができた。また、内容的にも、ACIの単純な適応だけではなく、そこからエージェント・ベースド・モデリングへと接続した論文を刊行できるなど、当初の計画よりも理論的に大きく発展した課題を扱うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は大きく以下二つの課題に取り組む。第一に、アドボカシー連合論インデックスの指標を用いた気候変動政策ネットワークの多国間比較を行い、英文学術雑誌への投稿を行う。第二に、2023年度のACIとエージェント・ベースド・モデリングとの接続に関する論文を踏まえ、両者の接続がより簡単にできるよう手法上の開発を発展させる。
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