研究課題/領域番号 |
21K13442
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河村 賢 大阪大学, 社会技術共創研究センター, 特任助教(常勤) (20802846)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | デュアルユース / 社会学理論 / アメリカ社会学史 / 冷戦史 / 科学者の社会的責任 / 科学技術倫理学 / 科学社会学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究計画は以下の三つの柱からなる、第一に、公刊資料の分析を中心として、キャメロット計画に直接参加した行動科学者たちと、パーソンズの構造機能主義それぞれの学説的異同を検討する。第二に、キャメロット計画の策定段階において、パーソンズの構造機能主義が実際にどの程度利用されていたのかを、同計画の実務が委ねられた特別オペレーションリサーチ局(SORO)のアーカイブ調査から明らかにする。第三に、キャメロット計画が政治的スキャンダルとなった後の論争の展開において、批判者たちがなぜパーソンズの構造機能主義を主たる攻撃対象とみなしたのかを、批判者が同時代に編集した論文集などの資料の分析から明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は後半にかけてコロナ禍の情勢と出入国管理が幾分緩和したため、海外での資料調査・在外研究の可能性を模索したものの、安全性への懸念から当初予定していたアメリカにおける特別オペレーションリサーチ局(SORO)アーカイブの現地調査を行うことはできなかった。しかしながら、ビザ免除措置が再開した韓国KAISTに赴くことで、アメリカ技術史とDisaster Studiesを専門とするScott Knowles氏と直接意見交換を行うことができ、冷戦期アメリカの戦争遂行に広く関わった機能主義的な社会科学やゲーム理論の発展という歴史的文脈のなかでキャメロット計画を捉える必要があるということ、その際にPeter Galisonが論じたCold War Rationalityの概念が比較の鍵となりうること、といった見通しを得た。ここで得た見通しを、ランド研究所においてアメリカ政府からの研究委託を起点として発展したテロリズム研究を題材に分析した研究発表を京都科学史・メディア史研究会をはじめとする国内の研究会・学会において発表し、社会科学的な知こそがアメリカが直面する敵の像を作り上げる際の重要な資源となってきたことを明らかにした。この過程において、サイバネティクス史や農学史を専門とする国内外の研究者と新たなネットワークを形成することもできた。
また、前年度以来取り組んでいる研究委託を通じて軍事研究やデュアルユース研究に関与する科学者の社会的責任についての理論的研究もさらに推し進め、ここまでの研究を総括する研究ノートを公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外の研究ネットワークの構築や、研究委託を受けた科学者が負う社会的責任についての理論的研究という側面に関してはかなりの進展を見せたが、当初予定されていた特別オペレーションリサーチ局(SORO)アーカイブがコロナ禍の影響のために延期されたため、当初の計画に比した場合には進捗が遅れていることは認めざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
この2年間ほどコロナ禍の影響を脱し切ることができず、アメリカ現地における資料調査は延期され続けてきたが、その反面キャメロット計画を取り巻く同時代的な社会科学の布置についての分析や、科学者の社会的責任についての理論的な考察は当初想定した以上に進んだと自負している。研究計画最終年度にあたる今年度は、早期にアーカイブ調査を行い、キャメロット計画の構想と機能主義やCold War Rationalityとの関係を明らかにすることで、これまでの研究の締めくくりとしたい。
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