研究課題/領域番号 |
21K13445
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大妻女子大学 (2022-2023) 大東文化大学 (2021) |
研究代表者 |
近藤 和都 大妻女子大学, 社会情報学部, 准教授 (10830359)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 映像の地理学 / 二次利用ビジネス / 版権ビジネス / 離島のメディア史 / 衛星放送 / ケーブルテレビ / レンタルビデオ / TSUTAYA / メディア流通 / メディア・インフラストラクチャー / 映像文化 / プラットフォーム / 海賊版 / 著作権 |
研究開始時の研究の概要 |
1980年代以降、ビデオ機器が普及し、かつソフトを安価に供給するレンタルビデオ店が大量に開店することで、大量の映像コンテンツを容易に視聴できるようになり、映像文化は根底的に変容した。そこで本研究は、1980年代を通じて日本にレンタルビデオ店が生成・普及する過程に焦点を当て、その要因ならびに利用者の経験を考察する。具体的には、(1)初期レンタルビデオ店をめぐる政治経済学的条件、(2)レンタルビデオ店普及期におけるロードサイド文化との関係、(3)両時期における利用者の実態を解明する。そうすることで、現在では当たり前になっている、「様々なコンテンツを繰り返し視聴する経験」の歴史的文脈を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、レンタルビデオ店が大規模化・チェーンストア化・アーカイブ化する条件の一つである、ビデオソフトが大量に販売されるにいたった経緯について、流通経路の多元化の観点から考察した。これまで調査・分析してきたように、レンタルビデオ店は1980年代後半から所蔵ソフトを大幅に増やしていく。利用者はそれに合わせて、データベースとしての雑紙を活用しながら視聴ソフトを選別していった。こうしたレンタルビデオ店を通じた映像文化の変容の基礎的な条件として、二次利用ビジネスの隆盛があった。同時期は、ケーブルテレビや衛星放送を通じて映像の流通経路が多元化し、ビデオもまた映画やテレビとは異なる流通フォーマットだった。流通経路が多元化することで、それらを横断してコンテンツを展開すれば、版権獲得等にかかる費用をまかなえることが期待できた。こうした状況のもと、さまざまな異業種企業が二次利用ビジネスに参入し、毎月膨大な数の新作ソフトが販売されるようになったのである。他方で、こうしたレンタルビデオ業界全体に関わる構造的変化を踏まえつつ、地域ごとの利用の差異にも着目した。具体的には各都道府県ごとの店舗数を業界誌が発行していた住所録から収集した。その結果、沖縄や長崎など、多数の島で構成され、放送の電波が届きにくい場所ができやすく、映画や書物の物流においても障壁がある地域ほど、レンタルビデオ店の人口あたり店舗数が多かったことがわかった。このような調査を踏まえ、文化地理学の議論も参照しながら、レンタルビデオ店を含む「映像の地理学」を構想することの重要性を論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の収集・分析、成果公開は順調に進んでいるが、地方部の実態解明については課題を残している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、書籍化を念頭において、国内外のメディア研究のなかに本研究を位置づける作業を行いつつ、特に近年の定額制動画配信サービスとレンタルビデオ店の比較メディア論的な議論を行い、本研究の現代的意義を示したい。
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