研究課題/領域番号 |
21K13448
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 (2022-2023) 早稲田大学 (2021) |
研究代表者 |
加藤 丈太郎 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (80897596)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ベトナム / 国際移動 / 技能実習 / 特定技能 / ケイパビリティ / 主体性 / 技能移転 / COVID-19 / スキル / 移民 / レジリエンス / COVID19 / 非正規移民 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、COVID19下の日本・ベトナム間の国際移動に着目し、2021年度から2023年度の3年間で、【1年目】COVID19が元々脆弱な状態にあった移民にいかなる影響を及ぼしたか、【2年目】COVID19が移民の出身国の家族・コミュニティ・仲介業者にどのような影響を与えたか、【3年目】COVID19後の持続可能な国際移動のあり方とは何かを問う。調査方法は半構造化インタビューを中心とする。2年目にはベトナムに渡航し、調査を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度までに行った調査結果をもとに、論文を2本(うち1本は査読付)、著書を3冊(うち1冊は編著)刊行した。加藤(2024、論文)「技能実習生が非正規移民になる要因ー制度の目的と実態の乖離」にはコロナ禍の発生後にインタビューを行った、元技能実習生の非正規移民の声を含むことが出来、まさに本科研費を体現する内容になった。加藤(2023、分担執筆)には、ベトナム人技能実習生を雇用する会社の社長の声を含み、調査対象者の幅を広げることができた。また、学会発表を2件(うち1件は国際学会)を行った。
2023年度には、コロナ禍によって延期されていた海外調査を行うことができた。2023年8-9月、ハノイ市・ホーチミン市及びその周辺において、元技能実習生等33件、送り出し機関役職員等7件、計41件のインタビュー調査を実施した。調査結果を分析し、2024年3月末までに3件の学会等での報告を行っている。研究では、開発経済学者、アマルティア・センが提唱した「ケイパビリティ」の観点から、ベトナム人元技能実習生の日本入国から母国への帰国後まで軌跡を捉えようとしている。質疑応答等で得られた助言をもとに論文を書き進めている。
日越間の移動を捉える中で、韓国の存在が年を追うごとに大きくなるのを実感してきた。また、日本の技能実習制度・特定技能制度と、韓国の雇用許可制度には類似する点が多い。日本と韓国のいずれもがベトナム人労働者の渡航先候補となっている。そこで将来的に比較調査を行う素地を作るべく、2024年3月に韓国に渡航した。ソウル特別市、仁川市、金浦市、天安市の移住民支援団体を中心に6件訪問し、雇用許可制に関する調査を行うための関係構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍によって延期していたベトナムでの調査を、想定していたよりも大きな規模で実施することができたため、研究を軌道に戻すことができた。ただし、調査が遅れた分、執筆も遅れており、研究業績にはまだ積み上げる余地があることから「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度のベトナムでの調査結果を元に、国際開発系のジャーナルと、英文誌に論文を投稿する。また、本研究プロジェクトの間に、技能実習制度の廃止が議論されるなど、制度面で大きな変化が起きている。そこで、自らが編者となって、制度面での課題に迫る書籍の発刊を2025年中を目標に行う。 2023年度は多数のベトナム人に話を聞くことで、帰国後の軌跡に関してはある程度の類型化をすることができたが、一人ひとりへの聞き取り内容にはまだ深める余地がある。そこで、複数の調査対象者を選定し、2024年夏にベトナムに再度渡航して、フォローアップ調査を行いたい。複数のエスノグラフィーを示す中から、ベトナム人元技能実習生の軌跡を点ではなく、線で示すことを目指す。 日越間の移動を捉える中で、韓国の存在が年を追うごとに大きくなっているのを実感している。本研究費が最終年度となることから、次年度に向けて新たな研究費の取得を目指す。本研究費で韓国で培った素地を元に、国際移動をより広い視点から捉える、日本・ベトナムに韓国を加えた、「国際労働移動比較研究」プロジェクトを新たに立ち上げる。
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