研究課題/領域番号 |
21K13453
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
伊東 香純 中央大学, 文学部, 特別研究員(PD) (80899039)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 精神障害 / グローバル / 社会運動 / 低開発 / 当事者 / アフリカ / アジア / ラテンアメリカ |
研究開始時の研究の概要 |
精神障害に関する歴史記述の多くは、精神障害者ではなく、障害を治療、管理する家族や専門職の実践や理論の変遷の論述であり、精神障害者は受動的な対象として扱われてきた。他方、精神障害者の社会運動についての僅かな先行研究は、英国や米国の運動を精神医療体制に対する抵抗運動として分析してきた。しかし実際には、精神障害者はグローバルな規模で草の根運動を展開しており、先行研究における精神障害者像には、一面的な認識であるという問題点があった。そこで、本研究は、研究蓄積の少ないアジア、アフリカ、中南米地域の視点から、グローバルな運動の連帯や対立を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究で対象とするアフリカ、アジア、中南米地域の精神障害者の運動のうち、今年度はアフリカ、アジア地域を主な対象として研究を進めた。 アフリカ地域については、ウガンダ、ルワンダ、ケニア、タンザニアの都市部で6週間のフィールドワークを実施し、文書資料の収集と、障害者の社会運動組織で活動した経験を持つ12名にインタビューをおこなった。文書資料は、当初期待していたほど収集することができなかった。他方で、これまでほとんど研究の蓄積のないアフリカの精神障害者の社会運動についての貴重な証言を得ることができた。その結果、これらの地域の運動では、精神障害を持つ当事者としての運動がそれほど重視されていないことや、薬物療法にアクセスするための活動をしていることなど、これまで検討されてきた欧米の運動とは相反する特徴を持つ可能性があることが示唆された。加えて、2023年度以降のフィールドワークをより充実したものにするための、各地の運動団体に関する情報や人脈を得ることもできた。 アジア地域については、日本の精神障害分野の活動家とともにタイと韓国を訪れ、精神障害を中心とした障害者運動のトランスナショナルな交流に参与した。これにより、今後の調査を進めるための知識と人脈を広げることができた。 5年間のプロジェクトの2年間である今年度は、今後調査の成果を研究論文等として発表していくための研究環境を整えた。先行研究等として参照するための研究書などを揃えた。 今年度の調査結果は、これから査読付き論文などとして発表していく準備を進めているところである。その準備として、昨年度の調査結果を中心とした研究成果を学会で報告し、有益なコメントもらうことができた。それを踏まえて、来年度以降、査読付き論文として発表していくための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で対象とするアフリカ、アジア、中南米地域の精神障害者の運動のうち、今年度はアフリカ、アジア地域を主な対象として研究を進めた。昨年度と比較して大幅に緩和されてはいたものの、依然として新型コロナウイルス感染症の流行による海外渡航制限は残り、特にフィールドワークする地域の選択に影響があった。 そのような中でも、東アフリカ地域の4カ国で活動する12名の活動家にインタビューを実施できた。12名は、障害者の組織で国内及びトランスナショナルな活動を活発に展開してきた人物である。今年度がアフリカでフィールドワークを実施する初めての年であったため、調査協力を得るのに苦労するだろうと推定していたが、昨年度の調査で築いた人脈などを活かして、当初想定していた以上に多くの方から貴重な証言を得ることができた。 他方で、現地に行けば、アフリカ地域の精神障害に関する文書資料の収集もある程度できるのではないかと推測していたが、大きな成果を得られなかった。インタビュー調査の重要性が一層明らかになった。 アジア地域の調査は、当初の計画以上に進めることができた。国際会議等への参加を通じて、現在の問題に関する知識や人脈を広げることができた。 研究成果の発表について、調査データのアーカイブについての査読付き論文を発表できた他、社会学、医療社会学の学会での報告もおこなった。これらで得たコメント等は、本研究の成果を発表していく上で活かせるものである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で対象とするアフリカ、アジア、中南米地域の精神障害者の運動のうち、2023年度は今年度に引きつづきアフリカ及びアジア、2024、2025年度は中南米地域に、特に力を入れて調査を進める計画である。 今年度の調査により、2023年度はザンビア、ガーナ、エチオピアの首都を中心とする地域でのフィールドワークが有効であり可能であると判断し準備を進めている。それぞれの国に2週間強滞在し、現地の精神障害者組織の関係者にインタビューを実施するとともに、文書資料の収集をおこなう。インタビュー対象者として予定している人の中には、既に調査協力の承諾を得られている人もいる。 アジア地域については、地理的な近さや現在の運動の活発さにより、比較的調査を進めやすい地域といえる。通訳者としての支援等を通じた参与観察等の方法で、継続的に情報収集をしていく。中南米地域については、未だ最も調査の進んでいない地域といえる。この地域の活動のほとんどは、スペイン語でおこなわれているため、現地でのフィールドワークに向けて語学学習を継続するとともに、英語でできる情報収集や人脈形成を事前に進めておく。 研究成果の発表について、2022年度及びそれ以前の調査の成果を基にした査読付き論文の投稿を予定している。論文投稿に向けた、社会学、医療社会学、障害学の国内学会、国際学会での報告も計画している。加えて、ウェブサイト上での収集した情報の整理、公開もこれまで通り継続していく。
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