研究課題/領域番号 |
21K13461
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平 将志 九州大学, 附属図書館, 助教 (60812922)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 佐賀県産炭地 / 失対事業 / 生活保護制度 / 炭鉱失業者 / 生存戦略 / 全日自労 / 構造的不況都市 / 生活保護費の返還問題 / 失業対策事業 / 生活困窮者救済 / 組夫 / 「エネルギー革命期」 / 「エネルギー革命」 / 集団陳情 / 産炭地 / 「第二次適正化」政策 |
研究開始時の研究の概要 |
2008年、リーマンショックの発生により、社会問題化した雇用不安定性やワーキングプアが、新型コロナウィルス感染症の蔓延に関連して再燃している。このような雇用不安定性やワーキングプアは、すでに1950~1960年代の主要燃料の転換期である「エネルギー革命期」の産炭地において失業問題と関連して顕在化していた。このようにみると、「エネルギー革命期」は、現代的貧困の原点と位置づけることができる。 本研究の目的は、「エネルギー革命期」において、生活保護制度の運用と生活困窮者による生存戦略について、主要炭田と産炭地自治体とを比較検討することにより、当該期の生活困窮者救済の特徴について解明することにある。
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研究実績の概要 |
本年度は、資料調査に加えて、これまでの研究成果を社会経済史学会、日本社会福祉学会九州地域部会及び日本社会福祉学会全国大会において個別報告を行った。 まず、今年度の主要な調査先は佐賀県立公文書館のほか、多久市議会事務局である。このうち佐賀県立公文書館には、旧厚生省から佐賀県厚生部あてに送られた通知が所属されていることが確認できた。当該資料を活用することで、厚生省と地方自治体間のやり取りの詳細を把握することが可能となる。また、多久市議会事務局では定例会会議録、臨時会会議録及び各種委員会会議録の撮影を行った。多久市ではほかの佐賀県産炭地とは異なり、1960年代の被保護階層の膨張は緩やかであったが、この原因を解明できる資料を入手した。 つぎに、個別報告については、社会経済史学会にて「『エネルギー革命期』における生活困窮者救済―福岡県田川地区を事例として」を報告した。筑豊炭田はかつて稼働世帯の生活困窮者の膨張が顕著にみられた地域である。全日本自由労働組合田川分会は、公的機関に対して諸運動を展開したが、単に公的救済に甘受せず、独自の生存戦略を展開したことをあきらかにした。つぎに、日本社会福祉学会全国大会と同学会九州地域部会では、今年度の佐賀県に関する資料調査をもとに、「生活保護制度における『第二次適正化』政策と地方自治体―佐賀県を事例として」と「唐津炭田における生活困窮者救済 -『エネルギー革命期』の佐賀県多久市を事例として」をそれぞれ発表した。佐賀県産炭地に関する研究は研究蓄積が少ないため、 当該報告の活字化は先行研究の空白地を埋めるものになると考えられる。 なお、『社会事業史研究』第63号には「空知炭田における生活困窮者救済―『エネルギー革命期』の北海道美唄市を事例として」が論文として掲載され、『エネルギー史研究」第39号、『石炭研究資料叢書』第45篇には2つの資料翻刻を掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初予定していた調査をすべて実施し、さらに論文1本(査読付)、学会報告3本、資料翻刻2本の成果を得ることができた。 以上の進捗状況からも、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究の最終年度である。そのためこれまでの調査・研究において得られた知見を活かして、早急に論文に纏めて査読付雑誌に投稿したい。なお、次年度は6月に北海道社会学会でのシンポジウムを予定している。当該学会は研究代表者が所属する学会とは異なるため、これまでにない新たな知見を得ることが期待できる。
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