研究課題
若手研究
本研究では、日本における中高生のヤングケアラーの存在率とその実態について調査する。さらに、ヤングケアラーの支援策を検討するための研究として、ヤングケアラー経験のポジティブな影響について明らかにする。そのために、①国際比較可能なヤングケアラー調査質問紙を作成する、②中高生を対象にした質問紙調査によりヤングケアラー存在率やその内容、友人関係や学びへの影響などを把握する(日英共同研究)、③ヤングケアラー経験者を対象にしたインタビュー調査によりヤングケアラー経験のポジティブな影響を明らかにする。
英国ノッティンガム大学のStephen Joseph博士との国際共同研究により、国際比較可能なヤングケアラー尺度を作成し、国内でヤングケアラー存在率調査を行った。5000人の中高生への調査で、ヤングケアラーの存在率が7.4%と推定された。これは標準化されていない尺度で調べた日本の調査結果と概ね同じ割合であった。ヤングケアラーは、そうでない人に比べて不安や抑うつが強いことと、向社会性が高いこともわかった。得られた結果に基づき、ヤングケアラー情報のページを開設し、学校・家族向け冊子と、当事者向け冊子を作成・掲載した。学校関係者へのサポートに関する研修会を6回実施し全国から学校関係者が参加した。
英国などの先進的な取り組みを参考に、日本でも若年介護者支援を推進するためには、国際的に比較可能な尺度を用いた疫学調査を行う必要があり、本研究によって、それを果たすことができた。いくつかの先行文献では、若年介護者における潜在的なポジティブなアウトカムについて議論されており、本研究でも、ヤングケアラーが向社会的行動などのポジティブなアウトカムと関連していることが示された。これらの結果に基づき、ヤングケアラーの定義やサポートについて、冊子・インターネット・研修会などで広く、学校関係者・保護者・本人に届けることができた。
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