研究課題/領域番号 |
21K13502
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
中屋 愼 大阪公立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (90736886)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | クレソン / 抗炎症効果 / ジフェネチルウレア / 可溶性エポキシヒドロラーゼ阻害 / 1,3-ジフェネチルウレア / 抗炎症作用 / 脂質メディエータ |
研究開始時の研究の概要 |
ヨーロッパでは,クレソンは皮膚炎の緩和などさまざまな効能があると伝統的に知られている。しかし,現在の栄養学・食品学的知見からこれらの効能を説明することはできず,我々がクレソンを活用するには科学的根拠が乏しい。申請者は,効能の多くは抗炎症反応であることに注目し,未知の機能性成分が細胞の炎症を抑制すると仮説を立てた。マウスを用いた研究から,微量成分であるPE-URが抗炎症的に作用することが分かった。そこで,本研究では,PE-URの作用機序を解明するため,培養細胞実験系での検証を行う。本研究は,抗炎症効果をもつ野菜の学術的根拠を示すもので,野菜のもつ機能性を活用した食による健康増進の一助となる。
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研究成果の概要 |
葉菜類クレソンは1,3-ジフェネチルウレア(PE-UR)を含有する。生体内で炎症を制御する脂質メディエーター(LM)に着目し、培養細胞を用いてLMに対するPE-URの作用を解析したところ、CYP経路に属する抗炎症LMである14,15-EETがPE-UR添加量依存的に増加することが分かった。14,15-EETは可溶性エポキシヒドロラーゼ(sEH)の基質であり、代謝されて炎症LMとなる。本研究により、PE-URはsEHを阻害することにより抗炎症LMの14,15-EETを増加させることが示された。このPE-URによるsEH阻害がクレソンの喫食により齎される抗炎症効果の主たる作用機序だと考えている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
クレソンは欧米において伝統的に健康増進目的で食されているが、抗炎症効果を齎す機能性成分とその作用機序に科学的根拠が付与されていない。本研究の成果は、PE-URが機能性成分であることを、その作業機序と合わせ明確に示すものであり、食品の機能を評価する食生活科学の発展に貢献する。また、本研究の成果は、食品がもつ健康増進効果に明確な科学的根拠を提示する一例であり、伝統的な食品の価値を改めて社会に発信するものである。健康増進効果に着目した農作物の選択肢を消費者に提供し、国民の食生活をさらに豊かにする一助となる。
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