研究課題/領域番号 |
21K13510
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 石川県工業試験場 |
研究代表者 |
笹木 哲也 石川県工業試験場, 化学食品部, 研究主幹 (00504846)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | GC-MS / SA-SBSE / 極性香気成分 / 伝統技術 / 乳酸発酵 / GC-Olfactometry / target profiling / 清酒 / 生もと / 香気成分 |
研究開始時の研究の概要 |
「生もと系清酒」とは、伝統的な清酒醸造技術「生もと系酒母造り」で醸造した清酒であり、製法の特異性と複雑で濃醇な味わいから、近年注目を集めている。速醸系酒母は乳酸を添加するのに対し、生もと系酒母は乳酸を添加せず天然由来乳酸菌の自然発酵により有害菌を抑えている。生もと系酒母造りの学術的研究は酒母の微生物叢、成分変化など多くなされてきたが、酒質についての研究例は少ない。本研究では、生もと系清酒の複雑で濃醇な香味の原因物質を解明するため、生もと系清酒に特徴的な香気成分を明らかにする。
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研究成果の概要 |
自然由来乳酸菌で発酵させる生もと系清酒について、特徴的な香気成分の解明を試みた。SA-SBSE-GC-O/MSを活用し、清酒中の極性香気成分を高感度検出し、ヒトの鼻で匂いを嗅ぎ取ることで、清酒の香気形成への寄与度が高い45の香気成分ピークを特定した。続いて、同じ酒蔵由来の生もと系と速醸系の清酒ペア3組(全6試料)を分析した結果、生もと系清酒は速醸系清酒よりも香気成分の種類が多い傾向であり、特に極性/親水性香気成分が多くを占めていた。さらに、11の特徴成分の定量分析を行った結果、ロイシン酸エチルなどの極性香気成分やγ-6-(Z)-ドデセノラクトンが生もと系清酒に多く含まれていることが認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で生もと系清酒に特徴的な香気成分を複数特定した。生もと系清酒は乳酸菌の自然発酵による伝統的製造技術であり、テロワールやクラフト技術、個性が求められる世界酒類市場において注目が高まっている。本研究成果は、生もと系清酒の品質向上と新たな価値創造、その地が醸し出す特有の清酒の香りを解明することでの魅力発信に貢献するものである。 本研究は、極性香気成分の高感度分析を可能とするSA-SBSEが、GC-O(匂い嗅ぎ評価)にも有効であること、特定成分のターゲット分析が有効であることを示した。フレーバーサイエンスにおいて、新たな研究手法の可能性と有効性を提案する成果である。
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