研究課題/領域番号 |
21K13516
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
吉田 直哉 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (70626647)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 平井信義 / 1990年保育所保育指針 / 持田栄一 / 幼保一元化 / 子ども学 / 教育人類学 / 子どものコスモロジー / 子ども観 / 子どもの主体性 / 子どもの内面理解 / 環境を通した保育 / 保育者の役割 |
研究開始時の研究の概要 |
1989年幼稚園教育要領が示し、現在まで有効とされる保育理念、「子ども中心主義」思想の形成と展開の過程を、平成期30年間に照準して追跡・解明する。具体的には、森上史朗、河野重男、高杉自子、岸井勇雄ら、実際に89年要領策定に当たった人物と、無藤隆、秋田喜代美ら、その理念を継承・発展させようと試みた人物の所論が対象となる。彼らの保育者論、保育環境論、遊び論に着眼し、その理念の全体構造の把握を目指す。
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研究実績の概要 |
1990年保育所保育指針策定に当たった小児科医・平井信義の保育思想についてのレビューを行い、日本教育学会で発表したのち、『社会問題研究』に論文を投稿、掲載された。平井の示した発達論には、それが個体論的であるという特色がある。平井が子どもの自己を捉えるために導入した「自発性」「意欲」「自主性」「創造性」などの概念は、全て個体としての子どもに内在するものとされている。「主体性」という上位概念で括られるそれらの内在的特質を強調することによって、平井は、子どもの独自性を尊重しているのである。しかしながら、それによって、集団性・社会性・関係性の発達は、個体的発達の絡み合いとしてしか表現できなくなった。 さらに、高度経済成長期に、保育制度の在り方を、社会のマクロ変動と絡めて論じた教育学者・持田栄一の保育思想についてまとめ、単著書『保育思想の持田栄一』を刊行した(学術研究出版)。持田の「幼保一元化」論の核心は、近現代日本において幼年期教育が二元化されているという事態が、「近代教育の本質」と関わっているという認識にある。幼・保が二元化されていることそれ自体が、近代教育思想の理念そのものの帰結だと考えられているのである。持田の保育制度批判は、近代公教育の前提にある「家庭教育中心主義」への批判を前提としている。そして、現代資本主義社会において脆弱化した家庭教育を、独占資本の主導下において、福祉国家が代替し再編・制度化しようとするところに、教育の全面化である生涯教育の一環としての保育が提起されていると断ずるものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミック下においては、研究発表の機会が失われるなど、研究進捗への障害が発生したが、今年度より、少しずつ遅延を取り戻しつつある状況である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度へ向けて、平成期保育思想の総括としての人権保育論の展開についての思想研究を続ける予定である。
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