研究課題/領域番号 |
21K13530
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 名古屋大学 (2023) 東京大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
草なぎ 佳奈子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 講師 (00777873)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 学びの専門家 / カリキュラム改革 / アクティブ・ラーニング / 教師の協働 / レッスンスタディ / 授業研究 / 教育移転 / インドネシア / 子どもの学びの専門家 / 非認知的能力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、教育実践の再文脈化に焦点を当て、①教育移転・教育借用、②レッスンスタデ ィ研究、③カリキュラム研究の3つのテーマを横断した問いとして、教育の「再文脈化 (recontextualizing)」の課題に取り組む。インドネシアでは「教える専門家」を脱却し、「学びの専門家」としての実践が目指されている一方、依然一斉授業が主流である。本研究では、レッスンスタディ実践をアクティブ・ラーニングを推進する「子どもの学びの専門家」と捉え、レッスンスタディの取り組みから、「子どもの学び」観とアクティブ・ラーニングの「主体的・探求的・協働的な学び」の関連、またそれを支える教師の協働の内容を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、教育移転・教育政策の再文脈化に焦点を当て、レッスンスタディ実践をアクティブラーニングを推進する「子どもの学びの専門家」としての視点から検証することを目的としている。レッスンスタディの取り組みから、①「子どもの学び」観とアクティブラーニングの「主体的・探求的・ 協働的な学び」の関連、②またそれを支える教師の協働の内容の検証を目的に、2023年8月、2024年2月と3月に現地調査を行ない、学びの専門家の実践と、これを後押しする要因と課題が明らかになった。子どものコロナ禍による2年間の遠隔・オンライン学習から通常の授業に戻り1年経ったものの、生徒への心理的・社会的影響が依然見られた。しかし、コロナ前は一斉授業が主流であったのが、遠隔・オンライン学習ではプロジェクト型学習(PBL)が普及した。これにより、生徒が主体的にテーマを選ぶ教科横断型の調べ学習が行われるようになった。同時に、2020年頃から段階的に導入が始まった新カリキュラム(Merdeka Belajar)では、非認知的な資質・能力への関心が高まっており、教師に求められる専門性に、教科知識の伝授だけでなく、道徳観や社会性の育成も含まれるようになった。調査対象とするスメダン県では、レッスンスタディ経験の長い教師が教育省と県の教育局が選ぶ新カリキュラムの推進教員として選ばれていることからも、新カリキュラムが目指す教師の専門性とレッスンスタディが目指してきたものが重なっていることが伺える。教師のインタビューでは、グループ活動の導入や、授業計画の簡素化など、レッスンスタディで培った経験が、新カリキュラムへの円滑な移行に貢献したと語られた。一方、公開授業の授業実践の内容や、インタビューから見える子どもの学び観に関しては、教師間でヴァリエーションがある。この点を今後の分析で明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年次において、新型コロナウイルス感染症の渡航制限により、現地調査が行えなかっため、全体として予定が後ろ倒しになっている。また、現地調査が可能となった2年次も、学校再開直後は子どもたちの心理的ケアや新カリキュラムへの対応が優先され、レッスンスタディを含む教員研修はすぐには開始しなかった。3年次である2023年度はレッスンスタディが再開された学校も多く、公開授業研究も含めた現地調査が可能となり、追加調査を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は延長後の最終年度となり、研究のまとめを行う。2023年度に行なった追加調査の結果をもとに、ワーキングペーパーならびに論文を執筆し、国内外の学会等で発表する。またインドネシア研究者と共著論文を執筆中であり、これをもとに現場や政策への提言も行なっていく。
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