研究課題/領域番号 |
21K13531
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 菜月 名古屋大学, 国際開発研究科, 助教 (60827179)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 就学ー就労トランジション / 進路希望 / 高学歴自営業者 / ガーナ / アフリカ / キャリア形成 / 学卒者 / 農村部 / 不確実性への対処 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、雇用機会が未成熟であり、不確実性の高いガーナ農村部環境において、学卒者はどのようにキャリア形成を行うのかということに焦点を当てる。従来の教育研究でみられる「就学→就労」という単線型モデルでは、アフリカにおける複線的で流動的な学習・キャリア形成の全体像が見えてこない。そこで本研究は、「学校を含めた多様な学習経験とキャリア形成」という複線型モデルに基づき、質的・量的方法を用いて、キャリア形成の実態と、彼らの機会獲得に影響する要素を明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、量的・質的方法を用いてガーナ農村部の学卒者を追跡調査し、十分な雇用がない環境における高学歴の若者のキャリア形成の実態を把握することである。 プロジェクト1年目である2021年度は、対象大学の卒業を控えた最終学年生に対して、1度目の質問紙調査を実施した。 回答者は全351名(うち、男性が219名、女性が131名、不明が1名)であった。調査の結果、卒業後の想定進路と、それに影響する要因が明らかとなった。 プロジェクト2年目である2022年度には、1度目の質問紙調査の参加者のうち、39名を対象にフォーカスグループ(インタビュー)を実施し、質問紙の回答傾向を説明するような動機や理由について調査した。また、1度目の質問紙調査回答者に対する追跡の質問紙調査を実施した。 1年目の質問紙調査とフォーカスグループのデータを合わせた分析結果から、ガーナ社会の不安定な労働市場に適応するために、学生らのキャリア形成が複線的になっていることを示した。卒業後最初の仕事としては公的セクターが就職先として想定される確率が高いものの、その門戸の狭さが前提として認識されているため、学生らにとって想定進路はあくまで暫定的で状況依存的なものである。また、NGOや民間セクター、自営業者など、「公的セクター以外」の職種をはじめから想定している集団は、それらの労働市場への参入可能性を向上させるためにより具体的な行動をとっており、キャリア形成への主体性がより高い傾向にあった。さらに本研究は、長期的には、多くの学卒者が「安定した雇用」よりも、自営業者としてより多い収入を得ることにより魅力を感じていることを示した。この分析結果を国内の複数の学会で報告し、意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた現地調査がコロナウイルス感染症拡大等の影響で初年度の2021年から引き続きできておらず、現地との必要な調整や情報収集は今年度も引き続きオンラインで実施したため、進捗が遅れがちとなった。フォーカスグループの実施と2年目の質問紙調査は予定通りに実施する事ができた。ただし、初年度の調査時から電話番号が変わっている回答者が多く、回答者を得るのに難航し、回答者数は初年次の半分以下となった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画に大きな変更はない。2年目の質問紙回答者に対して、3年目以降も追跡の質問紙調査を行うとともに、用意したクライテリアに基づきフォーカスグループ参加者を選定し、インタビューを実施する。3年目の質問紙では、現在の就労状況を中心に調査するとともに、1年目の質問紙実施時点での想定と現状との乖離の程度、現状への自己認識と将来展望について尋ねる。
|