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知的障害・発達障害のある幼児を育てる両親のwell-beingに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K13563
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分09030:子ども学および保育学関連
研究機関同志社女子大学 (2023)
桜花学園大学 (2021-2022)

研究代表者

勝浦 眞仁  同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60622488)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードwell-being / 知的障害 / 発達障害 / わが子らしさ / ジョイント・インタビュー / 動態 / 障害児の親 / この子の親 / ネガティブ・ケイパビリティ / 転調 / IDD / 両親
研究開始時の研究の概要

IDD(知的障害および/または発達障害)のある子どもを育てる親のwell-beingを明らかにしていくことが国際的な課題となっている。そこで、IDDのある幼児を育てる両親を対象としたインタビューを実施するとともに、北欧諸国のIDD児の親支援団体等を対象とした調査から国際比較を行う。これらを踏まえ、IDDのある幼児を育てる両親のwell-beingを構造化し、我が国の独自性について明らかにすることを目指す。

研究実績の概要

本研究では、①IDD(知的障害および発達障害)のある幼児を育てる両親のwell-beingを構造化すること、②IDD児の親のwell-beingに関する我が国の独自性を明らかにすること、この2点を目的としている。
2023年度は、IDD児の両親のwell-beingを構成する要素の解明および構造化を試みた。保育場面の映像をIDD児の両親と一緒に視聴し、その場面をどのように受け止めたのかについて、非構造化インタビューを行った。
その結果、子どもの行動を安易に意味づけようとはせず、その姿を丁寧に読み取っていこうとして、「わが子らしさ」を探ろうとするプロセスが親に見られるとともに、親が受け止める「わが子らしさ」には両面性のあることが明らかになった。すなわち、IDDのある子どもならではの行動や特性としての「わが子らしさ」として理解しつつ、これまでの関係の歴史や日常の中で形成されてきた「わが子らしさ」として受け止めていることが見出された。
これらの両面が織り交ざりあいながら、「わが子らしさ」を探ろうとするプロセスがIDDのある子どもを育てる親にはあるとともに、両面性のあるがゆえに多様な側面における均衡や揺らぎが生じていることが示唆された。
このように、達成され、完成された最終的なゴールがwell-beingなのではなく、親のwell-beingにおいては、情動面の均衡がほどよく調整されたり、崩れたりしながら、動態として変容していることが明らかになり、親のwell-beingの形成過程の一端を明らかにすることができた。この観点から、IDDのある幼児を育てる親の支援を行っていくことの重要性が指摘できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我が国における、IDDのある幼児を育てる親のwell-beingに関しては、ジョイント・インタビューを通して概ね構造化され、その形成過程のキーとなる「わが子らしさ」という概念の具体的様相を明らかにすることができてきた。
しかし、well-beingが高いことの指摘される北欧諸国(デンマーク・フィンランド)との比較・検討が十分にできておらず、我が国の独自性を見出すまでには至っていないため、上記の評価とした。

今後の研究の推進方策

現在、文献収集・検討を進め、北欧諸国でIDDのある幼児を育てている親のwell-beingを高めている環境等の要因についての検討を進めている。これらとこれまでの研究から見出された、IDDのある幼児を育てている親のwell-beingの構造を比較検討していく。
また、今後もこれまでのインタビューについての分析・検討を進めていくとともに、インタビュー可能なIDDのある幼児を育てている親がいらっしゃれば、研究協力をお願いし、インタビューの量を増やし、より精緻な構造化を試みる。
さらに、2025年3月にフィンランドで行われる北欧教育学会(NERA/NFPF)に参加および発表を行うことで、本研究の成果と課題を国際的見地から検討していくこととする。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 人と人との関係性を音楽的に捉えるために : 「転調」概念の理論的基盤2023

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁 藤井真樹 町田奈緒士
    • 雑誌名

      同志社女子大学学術研究年報

      巻: 74 ページ: 41-48

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 諸外国における子育て支援の実態を探る2022

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁・上田敏丈
    • 雑誌名

      桜花学園大学保育学部研究紀要

      巻: 26 ページ: 61-72

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] IDDのある子どもを育てる親のwell-being形成に求められること─ネガティブ・ケイパビリティの観点から―2022

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁
    • 雑誌名

      桜花学園大学保育学部研究紀要

      巻: 25 ページ: 51-65

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 自閉症のある子どもの子育てに「家族の流儀」は どのように影響するのか(10)2024

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁 青山新吾 山崎徳子 沼田あや子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第35回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 障害のある子どもを育てる親のwell-beingを捉える方法論の検討2023

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁
    • 学会等名
      日本保育学会第76回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 障碍のある子どもを育てる親のwell-beingを高める実感とは2023

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁 町田奈緒士 藤井真樹
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 自閉症のある子どもの子育てに「家族の流儀」は どのように影響するのか(9) 「家族の流儀」の臨床観を巡って2023

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁 , 青山新吾 , 久保山茂樹 , 沼田あや子 , 山崎徳子 , 遠藤野ゆり , 市川奈緒子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] What is required for the well-being of parents raising children with IDD?2022

    • 著者名/発表者名
      Mahito KATSUURA
    • 学会等名
      Society for the Study of Human Development 2021-2022 Conference Series
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] インクルーシブ保育がIDDのある幼児を育てる親のwell-beingに与える影響の検討2022

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁
    • 学会等名
      日本保育学会第75回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Getting the perspectives of a dyad through joint interviewing2022

    • 著者名/発表者名
      Mahito KATSUURA
    • 学会等名
      The 2022 Annual Conference for the Society for Qualitative Inquiry in Psychology
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 発達障碍傾向のある子どもを育てる親のwell-being形成―正負両面ある情動の均衡の観点から-2022

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁
    • 学会等名
      日本発達障害学会第57回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 接面の人間学の展開2022

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁 町田奈緒士 黒田生子 山本知香 鯨岡峻
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 自閉症のある子どもの子育てに 「家族の流儀」は どのように影響するのか(8)2022

    • 著者名/発表者名
      青山新吾 久保山茂樹 勝浦眞仁 市川奈緒子 沼田あや子 山崎徳子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] IDDのある幼児を育てる親のwell-beingに関する検討2021

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁
    • 学会等名
      日本保育学会第74回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 「家族の流儀」を大切にする支援 : 自閉スペクトラム症のある子どもの家族支援・再考2024

    • 著者名/発表者名
      勝浦眞仁 市川奈緒子 青山新吾
    • 総ページ数
      142
    • 出版者
      金子書房
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 接面を生きる人間学2021

    • 著者名/発表者名
      鯨岡峻、大倉得史、頼小紅、勝浦眞仁、塚田みちる、山本知香、山本展明、近藤真帆、町田奈緒士、黒田生子、渡部千世子、近藤(有田)恵
    • 総ページ数
      376
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623091546
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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