研究課題/領域番号 |
21K13587
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上ヶ谷 友佑 広島大学, 附属福山高等学校, 教諭 (80813071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 数学教育 / 推論主義 / 構成主義 / 規範 / 授業実践論 / 研究方法論 |
研究開始時の研究の概要 |
令和 3 年度は,高校生を対象とした教授実験を行うのに先立ち,成人数名を対象とした模擬授業で負荷テストを行う.これは,ウェアラブルカメラを装着した状態で授業を受けたとしても,身体的負担が十分に小さいことを検証するものである.令和 3 年度の冬から令和 4 年度にかけて,実際に生徒達にウェアラブルカメラを装着させ,教授実験を行う.授業の様子を生徒目線で捉えることにより,授業中の何がどのような経緯で生徒達の規範の構築に寄与しているのかを明らかにする.教育的視点から分析した成果については数学教育の国際誌へ,哲学的視点から分析した成果については哲学の国際誌へ投稿する.
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研究成果の概要 |
本研究では大きく分けて3つの成果を得た.第一に,数学教育研究の各種理論においては,従来,概念内容 (concept) が概念名 (notion) に先行すると考えがちであったが,推論主義の視座からは逆の順番で発達すると捉えるほうがよいことを理論的に示した.第二に,推論主義の視座から見た数学的活動の分析により,生徒達は数学的推論が正しくできていないことを自覚できない見かけ上の困難性に直面するということと,それを自覚していく過程が数学学習として重要であることが明らかになった.第三に,推論主義の視座が数学教育研究の基礎論を構成し得る点を理論的に示すことができた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は,小学校・中学校・高等学校における算数・数学の授業を設計する上で大切にすべき点を推論主義の視座から明確化しており,学校教育における算数・数学の授業観をアップデートする可能性を有している.推論主義という哲学が専門的であるがゆえに,一般の学校教員にこの考え方が波及するようにするためには別途工夫が必要であると考えられるが,考え方の基礎を作ったという点で社会的意義がある.また,教科教育研究の成果が一定程度,哲学の分野に還元できることがわかった.一方的に哲学から知見を取り入れるばかりであった教科教育研究の現状に一石を投じるという意味で,学術的意義もある.
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