研究課題/領域番号 |
21K13611
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 |
研究代表者 |
齋藤 崇徳 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 助教 (80781541)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 宗教系大学 / 宗教文化 / 組織社会学 / 組織論的制度主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本の宗教系大学において宗教に関連する文化的制度がどのように組織に組み込まれており、どう普及してきたかを明らかにすることを通じて、大学組織との文化との関係についての理論を発展させることである。この目的を達成するために、本研究では、宗教系大学における宗教文化の組み込まれ方についての基礎的データセットを構築し、歴史的・同時代的なケース・スタディを実施した上で、大学間・宗教間で比較分析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の宗教系大学において宗教固有の制度や慣習に基づく「文化」がどのように組織の公式構造に組み込まれており、どう普及してきたかを明らかにすることである。具体的には、大学における(1)象徴のシステムと人工物、(2)関係のシステム、(3)反復的活動を対象にして、そこに宗教に関する文化的制度がいかに組み込まれているかを、(1)基礎的データ・セットの構築、(2)歴史的ケース・スタディ、(3)同時代的ケース・スタディ、(4)宗教間の比較という方法を通じて行う。 令和四年度は、令和三年度に行なった先行研究・理論的枠組の検討、基礎的データセットの構築を通じて得られた知見およびケース・スタディの見通しを基礎として、歴史的ケース・スタディおよび同時代的ケース・スタディを行った。 本年度の主要な実績としては、次の三点を挙げることができる。第一に、象徴のシステムについての歴史的ケース・スタディを実施し、学校組織における礼拝の重要性を明らかにすることができた。キリスト教が普及するにあたってもっとも重要だと思われる礼拝は、戦後、礼拝の復活、礼拝の衰退、大学紛争といった過程を経る歴史を経験してきたという知見が得られた。 第二に、人工物についての理論的検討および歴史的ケース・スタディを実施し大学キャンパスの重要性を明らかにした。とくに宗教的空間や宗教的物質という視座を大学に適用することで、人工物を通じた宗教的文化の普及に関する歴史的な像を示すことができた。 第三に、宗教的行事等を担当する部署・センターを中心とした公式構造についての同時代的ケース・スタディを行なうことができた。その結果、まず、それが大学の公式構造に組み込まれていると同時に変化していく大学組織に対応する実践が行われていること、また、その学校が組み込まれている関係のシステムが公式構造のあり方と深く結びついていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和四年度に計画していた研究方法についてはおおむね実施することができた。 他方で、研究対象として設定していた「関係のシステム」についての知見は、年度内に発表した成果に十分に組み込むことができなかった。また、大学に関するケース・スタディも多数行うことはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和五年度は、ケース間・宗教間の比較研究を行うとともに、成果を発表する。 仏教系、新宗教系、神道系の大学のケースを対象として検討し、これをこれまでのキリスト教系大学の研究で得られた知見と比較することで、各宗教系の特質、日本全体の宗教文化の布置構造について分析し、大学組織と文化の関係の多様性を把握する。なお、これまで様々なケースを検討してきたが、十全に比較するために、不足している視点や対象について研究し先行研究の検討を行うことで補完する。また、とくに令和四年度の実績を鑑み、追加でケース・スタディを実施する予定である。 また、成果としては学会発表を行うとともに、報告書を執筆する。この際、令和四年度中に発表できなかったケース・スタディの成果をこれらに組み込む。
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