研究課題/領域番号 |
21K13627
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
朝岡 寛史 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (20808042)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 母語 / 直示動詞 / 発達的特徴 / 指導プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)児は、その母語によらず「行く/来る」といった話者の発話場や文脈に依存する表現の理解や表出に困難さを示す。この知見に対して本研究では、特に「行きたい!」や “I want to go!” にみられる、会話時における主語の省略の有無という言語の特徴がこの困難さに影響を及ぼすのではないかという仮説を立てた。この仮説を踏まえ、ASD児における適切な直示動詞使用の促進を最終的な目的とし、日本語、中国語、または英語を母語とするASD児を対象に、直示動詞使用の発達的特徴を解明する。そして、日本語を母語とするASD児に対する直示動詞の指導プログラムを日本語以外の言語に拡大する。
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研究実績の概要 |
本研究では、自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder; 以下, ASD) 児における適切な直示動詞「行く/来る」使用の促進を最終的な目的とし、日本語、中国語、または英語を母語とするASD児を対象に、直示動詞使用の発達的特徴を解明する。それを踏まえ、日本語を母語とするASD児に対する直示動詞の指導プログラムを日本語以外の言語に拡大する。 2022年度は、前年度の定型発達(typically developing; 以下, TD)児を対象とした予備的調査(研究1)から人数を増やし、かつASD児を対象に加え、生活年齢6歳代から7歳代の日本語を母語とするASD児およびTD児計約80名を対象とした、直示動詞「行く/来る」使用時の実態を調査した(研究3)。さらに、研究1と前年度実施した事例研究(研究2)の結果を踏まえ、日本語を母語とするASD児1名を対象とした事例研究を実施した(研究4)。また、中国語を母語とするASD児およびTD児を対象とした実施に向けて、協議を重ねた(研究5)。 研究1・3の結果から、第一に、ことばの全般的な発達と「行く/来る」の質問応答の適切さに相関があった。第二に、「今日、私の家に遊びに来る?」→「うん、行く!」のように、「来る?」と尋ねられて「行く」と応答することが最も難しかった。第三に、二者間の身体運動のシンクロと「行く/来る」を用いた適切な応答に部分的な相関があった。また研究2・4の結果から、身体運動の同期を媒介させることにより、ASD児は他者から自分を主語に変換する方略(例えば、「今日、(あなたは)私の家に遊びに来る?」と尋ねられ、「私は」と変換して「行く!」と答える)を獲得した可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本語を母語とするASD児およびTD児を対象とした研究の実施は概ね計画通りに進んでいるものの、新型コロナウィルス感染症の影響により、当初計画した中国語・英語を母語とするASD児およびTD児を対象とした研究が進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は中国語・英語を母語とするASD児およびTD児を対象とした研究5を中心に進める。新型コロナウィルス感染症の状況を踏まえながら、国外の研究実施を推進していく。
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