研究課題/領域番号 |
21K13660
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
山田 貴之 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90824277)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 量の関係 / 理科と数学の教科等横断的な学習 / 関数的な見方・考え方 / 理数学習の有用性 / 見方・考え方 / 正比例 / 数学と理科 / 教科書の分析 / カリキュラム・マネジメント / 教科等横断的な学習 / 理科 / 数学 |
研究開始時の研究の概要 |
平成24年度全国学力学習状況調査【中学校】では,数学も理科もともに「量の関係」の理解に課題があり,その解決のための指導法の考案が求められている。そこで,数学と理科を教科等横断的な視点で捉える際の要として,「関数的な見方・考え方」に着目した。しかしながら,「関数的な見方・考え方」を取り入れた授業が「量の関係」の理解にどのような影響を及ぼすかについては十分に検討されていない。そこで本研究では,比例関係のある事象を扱う理科授業を各学年1つずつ抽出し,結果の処理と考察の過程において「関数的な見方・考え方」を取り入れた指導法を考案し,それが「量の関係」の理解に与える効果を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、比例関係のある事象を扱う中学校の理科授業を各学年から抽出し(第1学年:密度、フックの法則、第2学年:オームの法則、第3学年:物体の運動)、結果の処理と考察の過程において「関数的な見方・考え方」を取り入れた指導法を考案し、それが「量の関係」の理解に与える効果を検証することを目的とした。 本研究の2年目(2021年度)は、中学校第1学年理科「フックの法則」において、「関数的な見方・考え方」を働かせ、かつ「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」を構成する因子を高める授業方略を組み入れることによる、2量関係について、実験結果の表からグラフを作成して式に表したり、表やグラフ、式を分析・解釈したりする力や、「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に対する意識に及ぼす効果を明らかにすることであった。この目的を達成するために、中学校第1学年の生徒を対象としたフックの法則の理科授業を行い、2量関係の理解の程度を測定する調査問題と、「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に関する質問紙調査を行った。 その結果、比例関係にある事物・現象のグラフから比例関係的に考察する考え方と、比例関係を示すグラフの直線から式化する力の育成に効果があることが明らかになった。また、実験群の事前~事後で、4因子(因子2「関数的な見方・考え方」、因子3「理数学習の有用性」、因子4「理科における学習方略」、因子6「数式化・数値化の意識」)に有意な上昇が認められ、「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に対する意識の向上に一定の効果があることが示唆された。本研究の授業方略は、2量関係を理解させ、「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」を認識させる上で、一定の効果があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】で述べた通り、本研究の2年目(2022年度)で得られた知見は、理解が難しいとされる内包量の形態をとる概念(例えば、密度、圧力、湿度、オームの法則、フックの法則)の獲得を促進する指導法としての可能性を裏付ける根拠と示唆を得るとともに、2量関係を取り扱う理科授業において、「理数学習の有用性」の意識を高めるためには、「関数的な見方・考え方」を取り入れた指導の有効性が示唆されたため。 また、後述する「研究発表」の通り、本研究計画に基づく成果(学術論文5編、学会発表3編)を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、比例関係のある事象を扱う中学校の理科授業を各学年から抽出し、結果の処理と考察の過程において「関数的な見方・考え方」を取り入れた指導法が、「量の関係」の理解に与える効果を検証することを目的としている。 今後の研究の推進方策として、新潟県内の公立学校の生徒を継続して調査対象とし、中学校3年間の見通しをもったカリキュラム・マネジメントの視点から授業改善に取り組み、それぞれ異なる事象(例:密度、フックの法則、オームの法則、物体の運動)であっても「関数的な見方・考え方」を働かせ、2つの数量の間の法則性を見いだして理解できるか否かを評価することが挙げられる。
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