研究課題/領域番号 |
21K13666
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
渡辺 匠 北海道教育大学, IRセンター, 准教授 (80759514)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 自由意志信念 / 社会心理学 / 実験哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、自由意志信念はセルフコントロールを促進する(自分の思い通りに行動を選択できると信じると、衝動的反応を抑制できる)と理論的に仮定されてきた。しかし、こうした理論的仮定に反し、実際のデータをみると、自由意志信念とセルフコントロールの直接的な関連は驚くほど弱い。1.なぜ両者の関連は弱いのか、2.自由意志信念が促進する機能は一体何であるのか、という2つの問いについて、本研究は実証的に検討をおこなう。
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研究実績の概要 |
初年度の研究では、人々にとって自由意志は望ましい行動の選択だけでなく、望ましくない行動の選択も含むことを、抽象的な行動に対する質問項目(例:望ましくない行動は自由意志にもとづいている)を通じて明らかにした。2年目の研究は抽象的な行動ではなく、シナリオに含まれる具体的な行動を提示し、それに対し人々が自由意志にもとづくと判断するかどうかなどを調べている。たとえば、シナリオでは他人が落としたお金を拾い、その人に声をかけて渡す(望ましい行動)または自分のものにする(望ましくない行動)という行動に関する情報を提示した。その結果、いずれの行動に対しても、人々は自由意志にもとづくと判断することが示唆されている。つまり、抽象的な場合でも、具体的な場合でも、人々は望ましくない行動も自由意志にもとづくと判断するようである。ただし、初年度の研究と2年目の研究では、1点大きな違いが見られている。具体的には、望ましい行動と望ましくない行動に対する人々の回答平均値を比較すると、抽象的な行動の場合(初年度の研究)では望ましい行動に対する平均値が高いのに対し、具体的な行動の場合(2年目の研究)では望ましくない行動に対する平均値が高い傾向も観察されている。つまり、「人々の自由意志概念は望ましくない行動の選択もふくむ」という本研究の仮説は全体としては支持されているものの、行動の具体性も自由意志と行動の望ましさに関する人々の判断に影響していると考えられるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の研究は初年度の研究を異なる観点から再現しつつ、新たな仮説に繋がるデータも得られている。そのため、本研究は「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の展開として、いくつかの方法が考えられる。一つは研究開始当初の仮説通り、人々の自由意志の概念定義に応じて、セルフコントロールとの関連が変化するかどうかを調べることである(例:「自由意志は望ましくない行動の選択も含む」と考える人は、自由意志の存在を信じてもセルフコントロールは高まらない)。このほかに、2年目の研究結果をふまえると、自由意志とセルフコントロールの関連は、セルフコントロールに関する行動をどの程度具体的に表現するかによっても変化する可能性も考えられる。こうした行動の具体性による影響を調べることも、今後の研究展開の1つの方法として挙げられるだろう。
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