研究課題/領域番号 |
21K13668
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
蔵永 瞳 滋賀大学, 教育学系, 准教授 (30634589)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 集合的感情 / 利他行動 / 内集団同一視 / 集団間相互作用 / グローバリゼーション / 感謝 / 怒り / 集団間感情 / 集団相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
内集団成員が外集団成員から攻撃されたときに生じる「代理的怒り」は、外集団成員に対する攻撃を促すという点で、諸外国の人(外集団成員)と接する機会の多いグローバリゼーション社会において問題となる感情である。この問題の解決方法として本研究では、「代理的怒り」と相反する性質の心理的モジュール(代理的感謝)を競合させることを提案する。具体的には、代理的感謝の喚起方法や心理的モジュールとしての性質を検討し、その上で、両感情を競合させることで攻撃抑制が可能であるか検討を行う。
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研究実績の概要 |
内集団成員が外集団成員から攻撃されたときに生じる「代理的怒り」は、外集団成員に対する攻撃を促すという点で、諸外国の人(外集団成員)と接する機会の多いグローバリゼーション社会において問題となる感情である。この問題の解決方法として、本研究では、代理的怒りが生じた際、相反する性質を持つと考えられる「代理的感謝」を喚起し、競合させる方法を提案する。令和5年度には、これに関わって2つのWEBシナリオ実験を実施した。 1つ目の実験は、代理的感謝の性質について検討したものであった。この実験では日本人を対象とし、まず日本に対する内集団同一視の程度を尋ねた。つぎに、外国人が日本人に対して親切をした内容のシナリオを提示することで代理的感謝を喚起し、その程度を測定した。その後、利他行動として、(a)親切をしてくれた国の人々に対する利他行動、(b)日本人達に対する利他行動、(c)第三国の人々に対する利他行動の3種類を測定した。なお、この実験では、親切のシナリオを、50年前の出来事として提示する場合と、今年の出来事として提示する場合について検討した。分析の結果、50年前と今年いずれの場合も、代理的感謝が親切をしてくれた国の人々に対する利他行動を促す傾向が示された。以上の結果は、代理的感謝によって促される利他行動は、特に親切をしてくれた外集団に対するものであることを示唆している。 2つ目の実験は、来年度、代理的怒りと代理的感謝を競合させる実験実施にあたり、代理的怒りを喚起する予備実験であった。実験では、代理的怒りの程度のほか、利他行動の程度が測定された。ここで利他行動を扱ったのは、利他行動が減ることを間接的に攻撃行動と解釈するためであった。分析の結果、実験で使用したシナリオで代理的怒りを喚起でき、攻撃行動がとられやすくなることが示された。このシナリオを使用し、来年度は感情を競合させる本実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初の予定では、令和5年度中に代理的怒りについての予備実験を終え、代理的怒り・代理的感謝を競合させる本実験の準備に着手する予定であった。しかし、令和5年度には代理的感謝の性質について検討する実験を加えたため、研究課題全体が若干遅れた。ただし、本実験の準備は既に大半を終えているため、予定通り令和6年度中に本実験を実施できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、(1)これまでの研究成果の公表準備(分析や、その結果のまとめ、執筆等)をするほか、(2)代理的怒りと代理的感謝を競合させる実験し、その研究成果公表にむけての作業を行う。また、令和6年度は本研究課題の最終年度にあたるため、(3)これまでの研究成果に基づき、今後の研究課題を設定する。
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