研究課題/領域番号 |
21K13674
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 安田女子大学 (2023) 高知工科大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
井上 裕香子 安田女子大学, 心理学部, 助教 (00850976)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 協力行動 / 利他行動 / 間接互恵性 / 相手選択理論 / 評判 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、なぜ人間がコストをかけて見知らぬ他者に協力するかという問いに迫る。協力を支えうる理論の1つとして、「協力的な人が良い評判を得ることで別の人から協力してもらえるようになり、長期的には協力が得になる」という間接互恵理論が検証されてきた。しかしその多くは、事前にランダムに相手が割り振られた後、各人がその相手の評判を参照して相手に協力するかを決定する状況で行われていた。一方で近年、評判を参照してからそれに基づいて協力する相手を選択する状況(選択的プレイ状況)の重要性が指摘されている。本研究では、選択的プレイ状況における人々の行動と、間接互恵に基づく集団内での協力の成立可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、なぜ人間がコストをかけて見知らぬ他者に協力するかという問いに迫る。間接互恵理論という理論では、協力すると良い評判が得られ、別の相手から協力してもらえるため、見知らぬ他者への協力が進化しうると説明している。しかし、間接互恵の中でどのような行動履歴情報に基づいて人々が良い評判をつけるかについては、理論上の必要条件と実際の人々の行動の間に矛盾がある。また、現実場面でもう会わないような見知らぬ他者に対して協力するかを判断する際に、本当に相手の行動履歴情報をそこまで探索しているかも疑問である。 これらの問題を解決する別の理論が、相手選択理論である。これは、協力は自分が良い人であることを示すシグナルであり、協力した人は他者から協力的な相互作用関係を築く相手として選ばれやすくなるという理論である。この理論では、二次情報を用いずとも協力が進化しうる。また、他者の行動履歴情報やそれに基づく評判が参照されるのは、今後自分が付き合う相手を選ぶ時というのは、現実に照らしてもある程度妥当だと考えられる。 2022年度には間接互恵が想定する「今後一切相互作用しない相手」・相手選択理論が想定する「今後相互作用しうる相手」に関する行動履歴情報の収集について比較する実験を行ったが、予測と異なりむしろ後者の行動履歴情報の収集の方が少ない傾向にあった。ただしこの結果には個人の協力傾向による差も見られており、この点を検討するには参加者数が足りないため、現在追加実験を行っている最中である。また並行して、「相手の選択」を導入することでどの程度他者への一方的な協力が起きるのかを検討することで、間接互恵理論と相手選択理論を比較する実験2の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
もともと新型コロナ等の余波により実験参加者の確保に時間を要したなどの理由で研究が遅れていたが、これに加え2023年度に申請者の異動により授業負担が増え、本研究課題にエフォートをほとんど割くことができなかったためさらに遅れが生じた。研究期間を1年延長し、2023年度に実施する予定だった研究を今年度実施する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度4月の異動によって所属機関で多人数が同時に実験に参加可能な実験室が確保できなくなったという課題が生じ、必要な実験室設備にアクセスできる学外の研究者との協力体制が必要となった。現在青山学院大学の清成透子教授との協力体制を確立し、青山学院大学の集団実験設備を利用して実験を行っている。
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