研究課題/領域番号 |
21K13682
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
福田 哲也 流通科学大学, 人間社会学部, 講師 (30757737)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 軽蔑感情 / 感情表出 / 社会的排斥 / 軽蔑 / 第三者 / 他者批判的な感情 / 社会的階層 |
研究開始時の研究の概要 |
軽蔑は、道徳的あるいは能力的に劣位とみなされる人物に向けられる感情であり、表情を通じて表出される。そのため、ある特定の属性をもった人物や集団に向けられた軽蔑は、第三者にその属性をもつ人物や集団が道徳的・能力的に劣っていることを伝え、上下関係を生み出す可能性がある。一方、軽蔑を向けられた人や集団は、軽蔑を向けた人物や集団に対して反発し、集団間の紛争が生じたり、その評価を受け入れ、上下関係の固定が生じたりすることが考えられる。本研究課題では、特定の属性を持った人物や集団への軽蔑表出が集団間の紛争や上下関係の固定の発生につながるのかを検討する。
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研究実績の概要 |
本研究課題全体の目的は、他者への批判的感情の1つである軽蔑感情が、ある人物から特定の属性や集団の人物に示されることがきっかけとなり、集団同士の対立や関係性の固定が生じるのかを明らかにすることであった。 上記の研究課題全体のうち、2022年度に予定していた研究は、自身の行動が原因で他集団の人物が自身に対して軽蔑感情を表出したのち、その表出した人物や所属集団に対して被表出者はどのような行動をとるのか、またそれらは他の批判的感情である嫌悪や怒りが表出された時と異なるのかをシナリオを用いた実験で調べることであった。この実験において測定する行動項目を選定するにあたり、他者からの軽蔑を感じ取った際に人が取りうる行動のバリエーションを把握する必要が考えられた。そこでそれらを把握するための予備調査を年度内に行った。調査は一般成人を対象としたウェブ調査であり、参加者には過去に他者に軽蔑されたと感じる経験の有無を尋ねた。経験があると回答した人物には、その経験のうち1つを想起するよう求めた。そして、他者からの軽蔑を感じ取った後にとった自身の行動について自由記述形式で尋ねた。またなぜその行動が生起したのか個人内過程を把握するために参考項目として、他者のどのようなふるまいから軽蔑を感じ取ったのか、他者からの軽蔑を向けられた際にどのようなことを感じたのかなどについても自由記述形式で尋ねた。得られた自由記述の結果は現在分析中であり、その結果を踏まえて測定項目を作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度における当初の予定は2つの研究を実施する予定であった。1つは2021年度実施研究の再検討であった。これは2021年度に行った研究の結果がシナリオの特徴に依存した可能性があったためそれを確認するため、別シナリオでの実施が必要と考えられたためである。もう1つは当初より2022年度に予定していた研究であった。前者については、妥当なシナリオの作成に時間がかかり、実施ができなかった。後者に関しては、研究目的が、人が他集団の人物から軽蔑感情を表出されたと認識した際に、表出集団に対してどのような行動をとるのか、またそれは他の感情が示された時とで異なるのかを調べることが目的であった。この点については、人が他者の軽蔑を感じ取った際の行動のバリエーションをまずは確認する必要があると考えられたため、実態調査を行い、それらの収集を行った。2022年度はこの点にとどまり、他者の軽蔑表出と行動の対応関係および他の感情表出との比較までを行うことはできなかった。そのため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施予定であった研究に関しては、予備調査の分析の完了やシナリオと項目の作成後、実施する予定である。また並行して2023年度に予定していた研究の準備を行う。2023年度に予定していた研究は、一度軽蔑感情を表出された集団のその後の反応が他集団の人物からさらにどのような行動を引き出すのかをシナリオを用いて検討するものであった。この研究においても2022年度に行った予備調査の内容が利用できるため、その結果を踏まえ、シナリオの作成を行う。シナリオが完成次第研究を実施する予定である。
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