研究課題/領域番号 |
21K13683
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岩井 律子 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 研究員 (40713920)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 孤独感 / 自然言語処理 / 自己ー記憶システム / 自伝的記憶 / BERT / 概念的自己 / 自己-記憶システム |
研究開始時の研究の概要 |
孤独感を自伝的記憶に関する認知心理学のモデルに基づいて、その生成メカニズムを解明することを目的とする。孤独感を過去の経験によって形成された自己の表象として捉え、その生起過程を認知心理学の枠組みと情報学の方法論で理解する。具体的には、自己の概念と記憶の相互関係性に着目した自伝的記憶の記銘・想起に関わるモデルである自己-記憶システムモデル(Conway, 2005)を拡張したモデルを提案し、自伝的記憶の研究方法を取り入れた心理実験によって検証する。また、最新の自然言語処理によって自伝的記憶の想起内容の記述を解析することで、心理学研究と情報学の融合による孤独感の生成メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、孤独感を過去の経験によって 形成された概念的自己の表象として捉え、その生起過程を認知心理学の枠組みと情報学の方法論(自然言語処理)で理解する。そこで、まず自然言語処理技術を用いて心理変数を推定する新たな言語特徴解析方法を確立した上で、実験を通じて言語特徴解析結果と孤独感の生成メカニズムの検証を行う予定である。本年度は、収集した食事場面ついて記述したテキストを、同時に収集したUCLA孤独感尺度による自己評価の孤独感を正解として、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers; Delvin et al., 2018)で学習させたが、十分な精度を得られなかった。一方で、クラウドソーシングを通じて収集した他者によるテキストの著者の孤独感評定を正解として、BERTで学習させたところ高い正解率を示した(2022年6月の国内学会、2023年2月の国際学会にて発表)。昨年度実施した孤独感に焦点化した記述から自己孤独感推定の結果(2021年2月の国際学会と2023年3月の国内学会で発表)と比較すると、共に他者による著者の孤独感評定を正解とする方が精度は高かった。他者評価は、記述された内容および言語特徴のみに着目して推定していると考えられる。そのため、複数の出来事それぞれの状態孤独感の推定結果から、著者の自己評価特性孤独感を推定できるか検討することにした。クラウドソーシングで対象者から、6つの出来事に関するテキスト・それぞれの状態孤独感・特性孤独感のデータを収集した(合計1,483名)。現在、解析を進めている。また、次年度以降進める概念的自己とパーソナリティの関係に向けて、パーソナリティ質問紙の測定不変性を検討し、2022年7月の国際学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は、本年度中に大規模な調査を実施し、孤独感に関するテキスト及び個人特性データ(パーソナリティ・孤独感等)を収集し、言語特徴解析器を作成することと並行して実験を行う予定であった。しかしながら、言語特徴解析器を構築するのにあたり、テキストデータの質や量が重要であるため、データ収集方法の見直しを行った。これまではウェブ調査やクラウドソーシングで一括でデータを取得していたが、「質」と「量」を確保するのが困難であった。そこで、まずクラウドソーシングで年代・性別ごと(20代・30代・40代・50代・60代以上)に予備調査を行い(合計2,963名)、回答パターンと記述内容から不真面目回答者のスクリーニングを行った。その上で、クラウドソーシングで対象者に直接協力依頼を行い、個別に対応してデータを収集した(合計1,483名)。結果として、当初想定した以上にテキストデータを収集するのに時間を要した。現在解析を行なっているところである。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は継続して、テキストデータからの孤独感特徴言語解析器の構築を進めるとともに、本年度実施できなかった実験を実施することで研究を加速する。
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