研究課題/領域番号 |
21K13685
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
榊 浩平 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60879675)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | インターネット / スマートフォン / 依存 / 介入 / 自己管理能力 / fMRI |
研究開始時の研究の概要 |
スマートフォン(スマホ)の過度な長時間使用による子供たちの依存症状が問題視されている。しかし、どのような介入法がスマホ依存改善に有効であるかは未解明である。本研究では、脳科学的根拠に基づく介入法を開発しその有効性を示す。脳活動計測実験で最適化した集中力と自己管理能力を鍛える介入法を用いて、健康な中学生を対象としたランダム化比較試験を実施する。さらに、追跡調査により持続効果を検証し、介入効果の予測モデルを構築する。本研究により子供たちの集中力と自己管理能力を鍛えるスマホ依存改善プログラムが確立されれば、教育現場での適切な指導法の検討や、スマホ依存者への新たな治療法の開発へ繋がると期待される。
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研究実績の概要 |
いつでもどこでも手軽にインターネットへ接続できるスマートフォン(スマホ)は近年急速に私たちの生活に浸透してきた。スマホは便利なデバイスである反面、過度な長時間使用による依存症状が問題視されている。先行研究においても、スマホの使用時間が長い子どもほど学業成績や学力の基礎となる記憶力や注意力などの認知機能が低いことが指摘されている。しかし、どのような能力を鍛える介入が子どもたちのスマホ依存改善に有効であるかは明らかになっていない。本研究は、脳科学的根拠に基づくスマホ依存改善プログラムを開発し、介入研究と追跡調査によってその有効性を示すことを目的とした。 2023年度は、スマホ依存改善プログラムを作成し、宮城県内の小学校にて介入研究を行なった。総務省の調査からスマホ使用が低年齢化している傾向が読み取れたため、早期の介入が重要と考え研究対象を小学生へ拡張した。自己管理能力を鍛えるために、児童自身にスマホ使用のルールを決めてもらい、自分で決めたルールを自分で守るという取り組みを実施した。22年度から追跡可能であった241名の児童を対象に、22年12月から23年12月までの12か月間の介入を行なった。22年度に決定した、スマホ・ゲームは「1日2時間以内」「寝る1時間前までにやめる」「宿題などやるべきことが終わってから使う」の3つルールを23年度も踏襲した。23年度は新たに全国学力テストの成績とアンケート調査を紐づけたうえで、追跡調査を行なった。解析の結果、ルールを守れる児童の方が守れない児童よりも成績が高く、介入前後でルールを守れるようになった児童の成績は向上していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、スマホ依存改善プログラムの開発と介入研究および追跡調査を計画通りに進めることができたため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度における研究への取り組みについて、開発したプログラムの有効性を検証するために、調査対象校を追加する。仙台市内の公立小学校1校および神奈川県内の私立中高一貫校で取り組みの実施許可を得ている。当該研究期間内に得られた成果をまとめ、国内外の学会・研究会および査読付国際学術誌などで発表する。 本研究により、集中力と自己管理能力を鍛えるスマホ依存改善プログラムが確立されれば、教育現場における脳科学的根拠に基づいた適切な指導法の検討や、従来の臨床心理学的手法と組み合わせたスマホ依存者への新たな治療法の開発へ繋がると期待される。
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