研究課題/領域番号 |
21K13692
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石黒 翔 京都大学, 教育学研究科, 助教 (90899080)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 短期記憶 / ワーキングメモリ / 意味的保持 / 意味的類似性 |
研究開始時の研究の概要 |
情報を一時的に覚えておく際に用いられる記憶機能としてワーキングメモリが知られている。ワーキングメモリ容量と文章理解課題の成績が関係するなど、言語理解においてもワーキングメモリは重要な役割を果たす。一方で、従来のワーキングメモリモデルでは、言葉が主に音韻情報に基づいて保持されると考えられてきた。これは、音が似ている複数の単語を覚える際に記憶が低下するという音韻的類似性の効果に基づいている。本研究では、意味的類似性の効果を研究対象にすることで、言葉の保持に欠かせないと考えられる意味情報の保持を検討し、意味情報の保持を説明できるワーキングメモリモデルの提案を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、短期記憶における意味情報の保持メカニズムの解明を研究課題としている。意味情報の保持を示す現象である「意味的類似性効果」に着目し、この効果の検討を通じて、研究課題の達成を目指している。当該年度では、昨年度から進めていた「感情的次元に基づく意味的類似性効果」を検討した研究を原著論文として出版することができた(Ishiguro & Saito, 2024)。この研究では、自身が行ったレビュー論文(Ishiguro & Saito, 2021)で示した予測を実証的に検討し、予測を覆す「Null effects」の結果を得た。Null effectsに基づき、「感情的次元に基づく意味的類似性効果」がないと強く主張することはできないが、将来的に後続の研究の知見と照らし合わせることで、本研究の結果は、意味情報の保持メカニズムに関する重要な知見になると考えられる。 加えて、意味情報と関連が深いと考えられる社会的情報(see Zhang et al., 2023)の検討も進め、短期記憶における社会的情報の保持に関するレビュー論文を出版した(石黒・齊藤, 2024)。また、前年度に実施した「WM成績と社会的ネットワークサイズの相関研究」に関しては、既に投稿を行い、改稿中である(社会的ネットワークサイズは過去1ヶ月間に会った人物の数などを測定した)。 このように、当該年度では、研究課題である「意味的類似性効果」の検討を直接的に進めると共に、意味情報と関連が深い社会的情報の保持に関しても検討を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の助成を受けた研究に基づき、2023年度は2本の論文を出版することができた。さらに、別の研究を論文化し、投稿を行い、現在は改稿中である。これらのことから進行状況を「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、現在改稿中の「WM成績と社会的ネットワークサイズの相関研究」の出版を目指す。第二に、意味的情報の保持を目指す研究を進める。本研究とは別のプロジェクトとして国際共同研究を進めており、その共同研究を通じて得たアイディアを元に、意味的情報の保持を検討する新しい実験を考案・実施する予定である。
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