研究課題/領域番号 |
21K13702
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 比治山大学 |
研究代表者 |
吉良 悠吾 比治山大学, 現代文化学部, 講師 (00897621)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 教師 / 教育行動 / 高校生 / 抑うつ / 対人ストレッサー / 学校適応感 / ソーシャルスキル / 介入 / 予防介入 / 尺度開発 / 指導行動 |
研究開始時の研究の概要 |
高校生の抑うつには、生徒が知覚する教師の教育的関わり(指導行動)が影響することが示されている。しかし、これまでの研究は欧米の教師や生徒を対象としたものがほとんどであり、日本でも同様に教師の指導行動を類型化することが可能であるか、また日本の高校生の抑うつと関連する指導行動はどのようなものかは不明である。そこで、①欧米で開発された生徒評定による教師の指導行動を測定する尺度を翻訳し、日本の教師の指導行動を欧米と同様に類型化可能か確認した上で、②高校生の抑うつとの関連を検討する。また、③日本の教師と欧米の教師の指導行動の比較により、日本の教師の指導行動の特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
高校生の抑うつには,生徒が知覚する教師の生徒に対する関わり(教育行動; teaching behavior)が影響することが知られている。昨年度までの研究により,欧米で使用されている尺度を用いて日本の教師の教育行動を測定することができるとともに,教育行動の中でも生徒たちの学びを深める関わりである教授行動が,生徒の学校適応感やソーシャルスキルを向上させることで抑うつを低下させることを,調査研究および介入研究を通じて明らかにした。 これまでの研究により,教授行動が抑うつを低下させるメカニズムは明らかになったものの,教授行動以外の教育行動と抑うつとの関係については,どのようなメカニズムがあるのか実証的に明らかにはなっていない。そこで,先行研究の結果をもとに,日本の高校生の多くが経験する対人場面におけるストレスイベントに注目して検討を行った。二時点の縦断調査の結果,教師の罰での脅しや挑発,矛盾した関わりである否定的行動は,生徒たちが日常的に経験する対人ストレッサーとして機能し,抑うつを悪化させることが示された。また,受容的であたたかい関わりである社会情緒的行動は,対人ストレッサーの経験頻度を統制することで,抑うつの低下と直接的に関連していた。つまり,その生徒が経験している対人ストレッサーの質や量によって機能が変動する可能性があるが,それらの影響を取り除くと,教師が社会情緒的行動を多く取ることで高校生の抑うつを維持・改善させる効果を有している可能性が示唆された。 これらの研究結果を通じて,高校生の抑うつと教師の教育行動が関連するメカニズムを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた研究では,①欧米で開発された教師の教育行動を生徒評定によって測定する尺度を日本語に翻訳し,それを用いて,日本の教師の教育行動を欧米と同様に測定可能であるかを確認するとともに,②日本における教師の教育行動が高校生の抑うつの変化を予測するかを明らかにすることが目的であった。しかし,これまでに行った研究ではこれらに加えて,教師の教育行動が高校生の抑うつを予測するメカニズムとして,学校適応感やソーシャルスキル,対人ストレッサーが関連することを示した。 これまでに実施した研究は,高校生の抑うつと教師の教育行動との関連性におけるメカニズムにまで踏み込んで明らかにするものであり,当初計画していた研究内容からさらに発展したものであると言える。これらのことから,「(1)当初の計画以上に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究が当初の計画以上に進んでいることもあり,全ての研究を学会等で発表するとともに,論文化し査読誌に掲載することができていない。そのため,2024年度では残りの研究成果を学会等で発表するとともに,査読誌への掲載に向けた論文執筆を進める。
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