研究課題/領域番号 |
21K13718
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
小浜 尚也 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (10881865)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 感情 / 感情喚起刺激 / 日本文化 / 性差 / 文化 / 実験機材 / 刺激素材 / 実験環境 / 予備調査 / 表情 / FACS / 情動評価 / 脳損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに脳損傷者の感情障害や表情を評価し、脳損傷後のうつ病と意欲障害の表情特徴を明らかにした。しかし、日本人の基本表情と感情障害者の表情の違いを検討できていないため、表情評価によって感情障害を検出する臨床的評価法の開発に至っていない。 本研究では、日本人の基本表情を明らかにすることと、日本人の基本表情に基づいた、感情障害者の表情特徴について検討する。研究結果を基に、わが国の感情障害者の表情評価システムの開発およびリハビリテーションへの臨床応用へと発展させたい。表情評価による感情評価システムの開発は、感情障害者の早期発見および支援の提供につながる。
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研究実績の概要 |
令和4年度の研究計画見直しを受けて、Webを通じた情報収集と研究データの収集に注力した。特に、日本文化に適した感情喚起刺激を特定するための準備を進め、具体的な質問項目や除外基準を設定した。これに基づき、異なる年代と性別による感情の反応を詳細に分析する予定である。大規模Web調査を実施する前の段階として、予備調査を10名の参加者を対象に行い、質問項目への回答における変動要因(例えば、映画に対する事前知識や性別)を確認した。この調査結果から、質問内容や調査手法における改善点を洗い出し、より精度の高い大規模調査の実施の必要性を再確認した。さらに、怒りといった特定の感情を喚起することの難しさも明らかになり、それが他の感情喚起よりも困難であることが確認された。これらの知見は今後の研究方針に大きく影響を与えるとともに、感情研究の進展に寄与するものである。加えて、研究の進行中には、感情喚起の効果を高めるための様々な新しい手法が試され、それらが今後の調査デザインにどのように組み込まれるかが重要な課題となっている。また、データの分析においては、ベイズ統計学を用いることで、より微細な感情の差異を捉えることが可能となり、これが研究成果の質の向上に寄与する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の研究計画における主要な変更は、対面での小規模調査からWebベースの大規模調査への移行であった。この転換には多くの新たな手続きが必要となり、特に映像販売元への映像著作権申請、被験者の選定と除外基準の策定、質問項目の見直しが含まれる。これらの手続きは計画されていた進行スケジュールよりも時間を要し、令和5年度の研究計画に遅れが生じる原因となった。さらに、大規模Web調査への移行は、データ収集と分析の方法にも大きな変更をもたらし、これに対応するためには追加の技術的な準備と試験が必要であった。結果として、研究チームは令和6年度までの研究計画の延長を余儀なくされ、研究の目標達成に向けての時間的余裕を確保するため、計画の見直しを行った。これにより、研究の質を確保しつつ、新しい調査手法への適応を図ることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、これまでの準備段階を踏まえて、大規模Web調査の実施を予定している。具体的には、幸福、怒り、嫌悪、驚き、悲しみ、恐怖といった感情喚起刺激を性別に応じて特定することが目標である。この調査を通じて、感情別、男女別にどのような刺激が効果的であるかを明らかにし、それに基づき被験者からのデータを収集する。収集したデータは、主に対面で行う表情撮影及び表情評価を用いて分析される。このために、現在、表情撮影および表情評価の準備を進めており、その準備はほぼ完了している状態である。また、この研究から得られるデータをもとに、感情反応に影響を与える要因の分析を行い、その結果を学術誌や学会での発表を通じて公表する計画である。この一連の研究活動は、感情心理学の理解を深めることに貢献し、感情に関する知見の拡大を目指している。
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