研究課題/領域番号 |
21K13721
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 東京女子大学 (2022) 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター (2021) |
研究代表者 |
山口 慶子 東京女子大学, 現代教養学部, 特任准教授 (50793569)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 臨床心理学 / 心理療法 / 不安症 / 感情障害 / 曝露療法 / 人工知能 / 自然言語処理 / 治療メカニズム / 治療効果 / 曝露法 / 最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
曝露法とは,強烈な感情を生み出す内的・外的な刺激に向き合う治療手続きであり,不安症へのもっとも有効な治療である。しかし,曝露法が有効である治療機序は未解明であり,さまざまな理論が提示されている。本研究では,曝露法を含む心理療法の有効性を検証する臨床試験で得られた膨大な臨床データを用いて,人工知能技術を適用して曝露法の治療プロセスを明らかにする。その知見を基に,曝露介入の最適化を提案する。具体的には,第一に,予測モデルの構築のために,抽出事例における曝露場面の言語・非言語行動を検討する。第二に,予測モデルの検証のために,治療ステップおよびアウトカムとの関連を検討する。
|
研究実績の概要 |
本研究課題では、曝露面接場面の言語データを対象に、最新の人工知能技術を適用し、曝露療法(エクスポージャー療法,exposure therapy)の効果が発揮される必須の要素を解明するための研究を実施することを目的とする。 本年度は、初年度に研究全体の土台を整備した結果を踏まえ、第一に、曝露法の研究の趨勢を把握するため、論文要旨のテキストデータの解析対象範囲を拡大した上で、自然言語処理の一つである構造的トピックモデル(Structural Topic Model: STM)を用いた解析を進めた。これらの研究成果は学会発表を通じて公表した。また、当初計画していた手続きをより厳格にする必要が生じ、解析対象とするテキストデータの選定における評定一致率の算出を追加する軌道修正を行い、投稿準備を進めた。さらに、来日したクラスク博士(Michelle G. Craske, PhD)の学会基調講演やワークショップにおいて制止学習理論やポジティブ価システムに注目した最新のアプローチにふれ、曝露療法(Exposure therapy)の治療メカニズムについて理論的検討を進めた。 第二に、曝露法のメカニズムを感情調整の観点から解明するため、感情への曝露による感情反応の変化の作用の一部を説明すると考えられる”Positive Emotion in Distress”の概念について、本年度は、ポジティブ心理学的な観点から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下での予防的なメンタルヘルスケア戦略の可能性について日本社会精神医学会の年次大会において発表を行った内容を大幅に加筆修正し、学会誌に公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の通り、曝露介入に関する検討課題の整理のためのトピック解析結果の公表に向け、当初予定していた手続きを着実に進めてきた。一方で、当初の計画よりも厳格な手続きをとることに軌道修正したため、予定していたより大幅に時間を費やした。また、研究代表者の所属機関の変更により、研究実施体制の整備が当初の計画よりも遅れている。そのため、当初予定していた計画に照らし、研究全体の進捗状況がやや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
曝露介入の検討課題を自然言語処理を用いて整理した成果発表を行う。それに基づき、曝露場面データの選定や解析手法について整備する予定である。また、曝露法のメカニズムを感情調整の観点から解明する点については、既存の調査研究データの二次解析を、臨床群のデータを用いて速やかに進める予定である。
|