研究課題/領域番号 |
21K13725
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
田中 健史朗 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60781101)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 遠隔相談 / 援助スキル / ガイドライン / コミュニケーション / 遠隔カウンセリング |
研究開始時の研究の概要 |
面接室に来室できない相談者への心理的援助が求められており,テレビ電話システムを用いた遠隔カウンセリングが実践されている。しかし,対面でのカウンセリングとの差異についての知見が十分に蓄積されていない状況で実践されており,遠隔カウンセリングにおける援助スキルのガイドラインも開発されていない。そこで本研究は,相談実験を実施し,その映像解析とインタビューをもとに,対面によるカウンセリングと遠隔カウンセリングの差異および遠隔カウンセリングにおける効果的な援助スキルを解明する。さらに,その知見をもとに遠隔相談における援助スキルのガイドラインを開発し,効果検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の第1の目的は,対面相談と遠隔相談の差異および遠隔相談における効果的な援助スキルを解明することであった。第2の目的は,遠隔相談における援助スキルのガイドラインを開発し,効果検証を行うことであった。 研究Ⅰでは,相談実験を実施し,それを録画した映像解析による検証と相談者へのインタビューによる検証を行った。その結果,遠隔相談では視点移動が少ないことや目が合わないことへの違和感,画面に表示される映像以外の情報が少ないことによる不安が高いことが特徴であることが明らかになった。また,対人不安心性の高い相談者にとっては,相談に対する不安感が低くなる,物理的に気軽に相談できるといった特徴も明らかになった。援助者の効果的な援助スキルとしては,画面上でのノンバーバルコミュニケーションを増やすことや,感情を意識的に言語化すること,画面共有機能を用いて視線の不安を軽減させること,チャット機能やホワイトボード機能を用いて視覚情報を活用することが有効であることが明らかになった。これらの成果を日本カウンセリング学会第54回大会などで発表した。 研究Ⅱでは,遠隔相談における効果的な援助スキルのガイドラインを作成し,その効果検証を行った。対人援助職に対する研修を開催し,その研修の受講前後で遠隔相談での援助スキルが変化したかを検証した。その結果,作成したガイドラインに基づき遠隔相談を実施した援助者は,相談者からの相談に対する評価が有意に高くなった。このガイドラインは,行政機関の研修やオンラインスーパーヴィジョンにも活用され,実践のなかでの効果検証をさらに進めていく予定である。 COVID-19パンデミックの影響を受けて面接実験の実施が予定通りに進めることができなかったり,研究成果を発表する機会が少なかったりしたことはあるが,おおむね研究計画通りに研究を実施できた。
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