研究課題/領域番号 |
21K13738
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 広島文教大学 |
研究代表者 |
阿部 夏希 広島文教大学, 人間科学部, 准教授 (90897612)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 過剰適応 / 評価懸念 / IRT / ランダムフォレスト法 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,過剰適応の早期発見・早期介入を実現するために,過剰適応者をスクリーニングするためのチェックリストを開発し,過剰適応の規定因である評価懸念に着目した介入プログラムを実施することで過剰適応の抑止に関する効果測定を行う。本研究は過剰適応の抑止を目的としているが,評価懸念に着目しその低減を目指していることから,社交不安障害等の精神疾患を予防する上でも有用であるといえる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,抑うつなどの精神疾患に影響を及ぼすリスクファクターである過剰適応の早期発見,早期介入のための手段を確立することである。具体的には評価懸念尺度のうち過剰適応のスクリーニングに寄与する項目をItem Response Theory(以下,IRTとする)によって特定し効果検証することである。 今年度は過剰適応を測定する尺度に関する問題点をふまえて,石津 (2006)の青年期前期過剰適応尺度ではなく,風間・平石 (2018)の関係特定性過剰適応尺度(以下,OAS-RSとする)を使用して調査を行い,過剰適応の概念について考察した。既存の過剰適応尺度の問題点としては,過剰適応者の状況や,対人関係を通じての首尾一貫した行動パターンは測定できているものの,個人が周囲のそれぞれの他者と間でどのような過剰適応状態にあるのかという日常場面での実際的な姿を把握するのが難しいことが指摘されている。この点を考慮しOAS-RSを用いて調査を行った。調査対象者は,中学生313名とその親313名,大学生477名とその親477名である。過剰適応とは,第三者から見て優れた環境適応をしており,不適応的な側面に関しては他者から気づかれていないことが過剰適応者の前提となっている。この前提のもと,過剰適応型において自己抑制の自己評価の得点が他者評価よりも有意に高くなることを予測とした。分散分析の結果,中学生・大学生ともに過剰適応群の自己抑制の自己評価の得点が親からの評価よりも有意に高かった。他者志向性についても同様の結果が得られた。このことから,OAS-RSによる測定では保護者は過剰適応群の自己抑制を過小評価していると考えられる。今後は適切な尺度を用いて過剰適応のスクリーニングに寄与する項目をIRTによって特定する必要があるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質問紙によるデータ収集は終えているものの,当初予定していた研究計画のうち対面の面接ができなかったため,全体の研究計画の進捗がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究1のデータ収集と分析に関しては十分な進捗が得られると考えている。しかし,研究2の半構造化面接に関しては研究者と対象者が対面で面接を行う必要があり,新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から実施が不可能となった。今後のデータ収集に向けては,所属先と協議のうえ対象者にとって不利益が生じないように調整する予定である。
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