研究課題/領域番号 |
21K13750
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2023) 京都大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
武藤 拓之 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (60867505)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | アナロジー / 心的回転 / 身体性 / 空間的思考 |
研究開始時の研究の概要 |
人は,目の前に存在する物体に対し,その表象を心の中に描き,様々な操作を加えることができる。このような能力は空間的思考と呼ばれる知能の一種であり,推論や知識の生成を含む様々な認知活動を支えている。空間的思考のパフォーマンスを向上させる方法として,物体を人や動物の姿に見立てるアナロジーが有効であることが知られているが,このアナロジー効果のメカニズムは未だ十分理解されていない。そこで本研究は,アナロジー効果が有効に作用する条件や身体性の役割に注目し,実験心理学と統計モデリングの手法を用いてその認知メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き,人の空間的思考におけるアナロジー効果(物体を人や動物などの姿に見立てることでその物体に対する心的な操作が容易になる現象)のメカニズムを解明することを目的とした複数の実験を実施した。本年度の主な成果は以下の通りである。 (1) 86歳から97歳の超高齢者423名のデータを用いて心的回転における身体アナロジーの効果を検証した論文が,学術誌「Collabra: Psychology」に掲載された。本研究は,人に似た物体に対する心的回転の成績は通常の心的回転の成績よりも加齢の影響を受けにくく,高齢期にも高く保たれる傾向があることを初めて明らかにした研究である。(2) 身体アナロジーによる心的回転の促進効果が身体に対する全体処理に起因するかどうかを検討するために,身体知覚の分野でよく知られている身体倒立効果を利用して,2つのオンライン実験を実施した。実験の結果,心的回転そのものとは無関係と考えられる刺激の符号化などの知覚情報処理には定説通り全体処理が寄与する証拠が得られたが,心的回転そのものに対する倒立効果は認められなかったことから,身体アナロジーの効果は全体処理では説明できないことが示唆された。本研究の成果の一部は日本心理学会第87回大会で発表された。(3) 身体アナロジーによる心的回転の促進効果が観察者の身体軸の投影に起因するかどうかを検討するために,身体化物体と観察者の角度差を操作した2つのオンライン実験と1つの対面実験を実施した。実験の結果は一貫して身体軸の投影による説明とは整合せず,先行研究で提案されていた空間的身体化説と呼ばれる仮説への反証となった。本研究の成果の一部は日本基礎心理学会第42回大会で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,研究A「アナロジー効果の有効範囲の画定」および研究B「身体図式の役割の解明」に関するデータを収集できており,4年目から着手する計画であった研究C「新たなアナロジーの獲得条件の解明」を実施する準備も整いつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から,従来の研究でアナロジー効果のメカニズムとして提案されていた説明のいくつかに対する反証が得られ,この現象のメカニズムの複雑さが浮き彫りとなった。今後はこれらの研究成果をまとめた論文を順次学術誌に投稿していく。加えて,従来の仮説の検証に留まらない新たなアプローチとしての研究C「新たなアナロジーの獲得条件の解明」に着手しながらアナロジー効果の利活用の方法を検討していく。
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