研究課題/領域番号 |
21K13764
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
鈴木 拓 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (60754885)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ファノ多様体 / チャーン指標 / 有理曲線族 |
研究開始時の研究の概要 |
代数幾何学において、ファノ多様体(第1チャーン類が正である多様体)は重要な対象であり、多くの研究がなされている。一方、r-ファノ多様体(r番目までのチャーン指標が全て正であるような多様体)については、ほとんど性質や分類が知られていない。本研究では、ファノ多様体の研究によく用いられる極小有理曲線族の拡張概念として、高階極小有理曲線族の概念を導入し、それを用いたアプローチにより、r-ファノ多様体の性質や分類について研究する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ファノ多様体に付随する高階極小有理曲線族について調べることにより、r-ファノ多様体(r番目までのチャーン指標が全て正である多様体)の性質および分類を明らかにすることである。特に、「r-ファノ多様体の高階極小有理曲線族の鎖の長さ(研究A)」および「高階極小有理曲線族の長い鎖を持つファノ多様体の分類(研究B)」について研究する。 研究Aに関しては、一般のファノ多様体の場合についての高階極小有理曲線族の鎖の長さについての計算を行った。特に、長岡による論文「On a sufficient condition for a Fano manidold to be covered by rational N-folds」における高階極小有理曲線族のチャーン指標の計算に関する結果が、本研究の目的のために寄与することが分かった。 研究Bに関しては、「極小有理曲線族のピカール数と次元」に関する仮説、および、「極小有理曲線族が射影空間になるファノ多様体」に関する仮説が成り立つかどうかの検証を行った。特に、Zakによる著書「Tangents an Secants of Algebraic Varieties」によって知られていた射影幾何に関するいくつかの結果が、本研究に適用できることが分かった。 これまで得られた成果について、国際的な研究集会「International workshop on Birational Geometry」において講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究Aに関しては、当初の計画通り、一般のファノ多様体の場合についての高階極小有理曲線族の鎖の長さについての計算を行った。研究Bに関しては、これまでに明らかになった極小有理曲線族に関する課題について調べ、多少の進展があった。また、幅広い数学分野の研究集会への参加や研究発表による成果発信を行い、参加者との研究交流を通して本研究に関する見識が深まった。 研究費については、研究環境の整備のための消耗品費や、国内の研究集会・セミナー等への参加のための出張費に使用した。 一方で、感染症拡大や社会状況の変化により、当初予定していた海外での研究集会参加や研究打ち合わせを断念している影響があり、計画を変更せざるを得ない研究内容もあった。そこで、研究期間を当初の計画から1年間の延長申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
研究Aに関しては、一般の多様体の場合について、明らかになっていない高階極小有理曲線族のチャーン指標についての研究を行う。接束の正値性に関する最新の研究結果について更に理解を深め、本研究の目的であるr-ファノ多様体における高階極小有理曲線族の鎖の長さを明らかにする。研究Bについては、射影多様体の理論や特異点に関する理論について理解を深め、残されたいくつかの課題を解決する。2024年5月に行われる研究集会にて、本研究に関する講演を予定しており、幅広い数学分野の参加者との研究交流によって、新たな研究推進が期待される。 研究費については、引き続き、研究環境の整備や研究集会・セミナー等への出張のために使用し、研究調査や研究発表を積極的に行いたい。
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