研究課題/領域番号 |
21K13774
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
太田 和惟 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70770775)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | CM楕円曲線 / 反円分拡大 / 岩澤理論 / L関数 / セルマー群 / 保型形式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、有理数係数の多項式族の零点集合から定義されるような代数多様体に付随する2つの重要な不変量「L 関数の特殊値」と「セルマー群」との神秘的な関係を明らかにすることである。非常に一般的な予想として、Beilinson-Bloch-Kato 予想があるが、一般の状況では未だにほとんど手掛かりがないと言ってよい状況である。したがって、同予想が成り立つ新たな例を見つけることで理解を深めることが重要であると考えられる。本研究では、保型形式とよばれる対象に付随するL関数とセルマー群を研究することで、同予想が成り立つ新たな多様体のクラスを組織的に与えたいと考えている。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、CM楕円曲線に付随する数論的不変量のp進的振る舞いについて研究を行った (小林真一氏とAshay Burungale 氏との共同研究)。 素数 p が考えている虚二次体で分裂する場合の CM 楕円曲線の岩澤理論は、Panchishkin 表現という場合の岩澤理論に該当し、さまざまな先行研究がなされ、一般的な予想が部分的に定式化されるなど理解が進んでおり、数論的不変量の振る舞いの理解もある程度進んでいる。しかしながら、p が惰性する場合は全く異なる現象が起き、既存の岩澤理論の枠組みでは捉えきれないだけでなく、整数性の崩れなどの多くの困難が現れる。それにより、数論的不変量の振る舞いについても従来とは異なる面白い振る舞いをし、それを理解することは、新たな岩澤理論的現象を見出すためにも非常に重要である。 今年度は、(複素)反円分L関数の特殊値のp進付値の漸近的な振る舞いを解析し論文を書き上げた。また、前年度に出版した論文の成果であるRubin予想の解決の応用として、ある種の場合の局所イプシロン同型の別構成を与えることに成功し論文を投稿した(Burungale氏、小林氏、安田正大氏との共同研究)。もう少し正確に述べると、高さ2のLubin-Tate形式群のp進Tate加群の反円分変形に対する局所イプシロン同型を構成することに成功した。この場合は階数が2の場合で、より一般的な場合を扱った先行研究においてすでに構成されているが、Rubin予想を用いたより簡明な構成を与えることができたことと、Rubin予想とこのような重要な数論的な予想と関係があることを明らかにできたことが収穫である。 また、以前Mazur-Tate予想の階数部分の楕円保型形式の場合に関する部分的な成果を得られ論文を投稿していたが、リバイズを経て本年度論文が出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究成果を得られただけでなく論文の作成を終え、投稿にこぎつけることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
部分的な成果を得られつつもまだ論文が完成していない研究を完成させ、学術雑誌に成果を投稿する。共同研究者らの元を訪れ、研究討論を重ねて研究を進めていく。
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