研究課題/領域番号 |
21K13778
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 東邦大学 (2022-2023) 慶應義塾大学 (2021) |
研究代表者 |
村上 和明 東邦大学, 理学部, 講師 (60795681)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 多変数岩澤理論 / 岩澤加群 / 木田の公式 / λ-不変量 / 岩澤ベキ級数 / 一般Greenberg予想 / 一般 Greenberg 予想 / Zp-拡大 / 一般グリーンバーグ予想 / イデアル類群 / 楕円曲線 / p進L関数 |
研究開始時の研究の概要 |
素数pに対して,岩澤理論では代数体の多重Zp-拡大という特別な無限次拡大を考える.このとき,多重Zp-拡大の中間体を束ねたものを岩澤加群と呼ぶ.岩澤理論は,岩澤加群(代数的な対象)とp-進L関数(解析的な対象)に潜む関係を研究する分野である.従来の岩澤理論では,円分Zp-拡大を中心に理論が展開されてきた. 本研究では非円分Zp-拡大に対して岩澤理論を展開する.そのために,一般Greenberg予想(GGC)の研究に取り組む.具体的には,以下の問題に取り組む.
(1) 木田の公式を用いたGGCの証明 (2) p-rationalな代数体に対するGGCの証明
|
研究実績の概要 |
p を奇素数, k を p が分解する虚二次体とする. k の p-Hilbert類体がある Zp-拡大の中に含まれるとき, k を p-rationalな虚二次体と呼ぶことにする. 2023年度は岩澤加群の構造に関して研究を行った. 特に弱一般 Greenberg 予想の証明を試みた。弱一般 Greenberg 予想とは「kの最大多重Zp-拡大に付随する不分岐岩澤加群 X が非自明であれば, X は非自明な擬零部分加群を持つだろう」という予想である. この証明はまだ完全には解決していないがその研究過程において, 次の2つの結果を得た: (i)p の k 上の素点を P(もう一方を P*)とおく. このとき, k の円分 Zp-拡大 K の各中間体 k_n について, k_n の P 上の素点の外不分岐最大なアーベル拡大体の k_n 上のガロア群のねじれ部分(つまり, 最大有限部分加群)は, 円分 Zp-拡大 K/k に付随する岩澤ベキ級数の自明零点を除いたもので決まる.さらに, k が p-rational で円分 Zp-拡大に対する岩澤不変量が 2 の場合は, ねじれ部分の位数は岩澤ベキ級数に関係なく同じ形(中間体の n のみに依存する式)で表せることがわかった. (ii) D を k の p 上の素点 P の(k 上の最大多重 Zp-拡大における)分解群とする. D が (有理数体からみて)非正規部分群である仮定のもとで弱一般 Greenberg 予想を証明した. この結果に関して, これまでの研究では二つの仮定(円分 Zp-拡大に付随する p 進 L 関数が重根を持たないこと, k の P の外不分岐な Zp-拡大の岩澤 λ 不変量が 0 であること)が必要であったが, 今回の研究によりこの仮定を取り除くことができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
虚二次体 k の最大多重 Z_p-拡大を L とおく. 弱一般 Greenberg 予想の証明には, L の P 上の素点の外不分岐最大アーベル拡大体 M について精確な情報が必要である. 2022 年度で最初の目標であった木田の公式の証明が完了し, 2023年度は, このアーベル拡大 M について研究を進めた. M の情報についてまだ十分に得られていないため, 2024年度も引き続き M に対する岩澤加群の構造に関する研究を継続する.
|
今後の研究の推進方策 |
虚二次体 k の最大多重 Z_p-拡大を L とおく. 2022 年度に証明した木田の公式は、L の P 上の素点の外不分岐最大アーベル拡大体 M の構造を知るうえで有効であるが, 弱一般 Greenberg 予想の証明をするためには不十分である. 2024年度は引き続き M に対する岩澤加群の構造に関する研究を継続する.
|