研究課題/領域番号 |
21K13783
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
宮崎 弘安 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 基礎数学研究P, 研究主任 (50799765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | モジュラス付きモチーフ / De Rham-Witt複体 / 相互層 / 構造層係数コホモロジー / Hasse-Arfの定理 / モジュラス付きモチーフ理論 / モチーフ / モジュラス / ホモトピー不変性 / 代数的サイクル / 代数的K理論 / 数論幾何 / K理論 |
研究開始時の研究の概要 |
数論幾何では、整数や素数の性質を、代数多様体と呼ばれる図形(幾何学的対象)の性質に置き換えて研究する。多くの場合、代数多様体の構造は非常に複雑で、そのままでは調べるのが難しい。そこでコホモロジー理論を用いた「線形近似」を行うのが現代数学の常套手段である。数論幾何には様々な種類のコホモロジーが現れるが、それらは全てモチーフという理論によって結びつくと考えられている。これまでの研究では、モチーフ理論全体を一般化することにより、従来の理論が抱えていた原理的な制約を克服することに成功した。本研究ではこの新しいモチーフ理論を駆使し、従来の理論では捉えられなかった数論的現象を探求することを目指す。
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研究実績の概要 |
モジュラス付きモチーフ理論の応用とさらなる基盤整備を目指して研究を推進し、下記の成果を得た。 (1):モジュラス付きモチーフ理論の主目的は、従来のモチーフ理論では捉えられない「非ホモトピー不変」なコホモロジーを制御することである。最低限の基礎理論はこれまでの研究で完成したため、具体的に非ホモトピー不変なコホモロジーを制御することが次なるステップとなる。構造層のコホモロジーは、代数多様体上のコホモロジーの中で最も基本的であるにもかかわらず、ホモトピー不変でないために、従来理論では制御できない。本研究では、Shane Kelly氏と共に、構造層のコホモロジーの実現関手を構成し、モジュラス付きモチーフの圏が従来理論よりも真に広い表現力を持つことを初めて実証した。 (2):De Rham-Witt複体はp進コホモロジーを生み出す重要な対象であるが、その定義は多数のデータを含み複雑である。本研究では、小泉淳之介氏と共に、モジュラスペアの理論を用いたde Rham-Witt複体の新たな構成を与えた。より正確には、de Rham-Witt複体(のモデル)が、Witt環と乗法群(のモデル)のテンソル積を用いて表されることを示した。さらに、de Rham-Witt複体の種々の構造射が、Witt環と乗法群のモデルに現れる射影直線の自然な自己射から誘導されることも証明した。これによりp進コホモロジーの研究にモチーフ理論の観点から新たなアプローチが可能になる。 また上記研究の過程で、相互層の理論を一般底上に拡張した。さらに、モジュラスペアに現れる因子の係数を有理数に拡張し、数論のHasse-Arfの定理のモチーフ的類似という非常に興味深い結果を得た。
また、国際研究集会「Motives in Tokyo 2023」をオーガナイザーとして企画し、東京大学大学院数理科学研究科において開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の主目的は、モジュラス付きモチーフ理論を応用することにより、代数多様体のコホモロジーの研究に対する新たなアプローチを得ることである。今年度は、モジュラス付きモチーフ理論の最初の応用として、構造層係数のコホモロジーの実現関手の構成することで理論の有効性を初めて実証した。さらにp進コホモロジーと深く関わるde Rham-Witt複体について、モジュラスペアの理論を用いた新しい構成を与えることもできたため、本研究課題の当初の課題に対して十分な成果が得られている。また、上記の応用を模索する過程で、相互層の理論を一般底上および有理係数因子の場合へ一般化することで理論の応用範囲を広げるとともに、その応用としてHasse-Arfの定理のモチーフ的類似という思いがけない結果を得ることもできた。このように、研究は当初の計画を超えて大きく進展している。
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今後の研究の推進方策 |
モジュラス付きモチーフ理論の応用研究と基盤整備をさらに推進する。まずは構造層係数コホモロジーの実現関手の構成法を拡張することにより、微分係数の層係数のコホモロジー(Hodgeコホモロジー)の構成を目指す。それに成功したらde Rham-Witt係数のコホモロジー(Hodge-Wittコホモロジー)の実現関手の構成に向けた検討を行う。また、相互層のコホモロジーをモジュラス付きモチーフの圏で表現するための一般論の構築にも並行して取り組む。 研究課題の遂行のためには、個々のコホモロジーに関する専門家の深い知見が必要となると考えられるため、出張やワークショップ、国際研究集会の開催などを通じた国際的な研究交流、情報交換を積極的に推進する。
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