研究課題/領域番号 |
21K13785
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今野 北斗 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (20845614)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 写像類群 / 多様体のモジュライ空間 / 特性類 / 族のゲージ理論 / エキゾチック微分同相写像 / Seiberg-Witten方程式 / 4次元多様体 / Dehnツイスト / 微分同相群 / 群作用 / 同相群 / コンタクト構造 / ゲージ理論 / Yang-Mills反自己双対方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲージ理論を境界付き4次元多様体の族に対して展開する.これは,私がこれまで国内外の共同研究者の協力を得つつ取り組んできた閉4次元多様体の族のゲージ理論の拡張となると予想される.より具体的には,境界付き4次元多様体の滑らかな族に対するゲージ理論的な制約を得るのが理論的な目標となる.そのために,Floer理論的な構成を3次元多様体の族に対して行い,またそこに値を持つ境界付き4次元多様体の族の相対不変量をも定義する必要がある. 期待される応用は,3次元多様体の族や3次元多様体上の群作用が,それを境界として持つ4次元多様体の族やその上の群作用に滑らかに拡張するための障害の構成である.
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研究実績の概要 |
今年度の第一の成果は,4次元多様体の写像類群と4次元多様体の族の特性類のある種の無限性に関するものである.4以外の全ての次元で,単連結閉多様体の写像類群は有限生成であることが知られている.これとは対照的に,単連結閉4次元多様体であって,その写像類群が無限生成であるようなものが存在することを示した.さらに, 高次元単連結多様体Xに対して,分類空間BDiff(X)のホモロジーは各次数で有限生成であることが予想されており,偶数次元では実際に正しいことが知られている.この4次元類似が,ホモロジーのどの次数でも成立しないことを示した.上述の写像類群の無限生成性はこの結果の帰結である.証明は,Seiberg-Witten方程式の族を用いた新しい特性類の無限族を構成・計算することでなされる.
第二の成果は,Seifert3次元多様体に沿ったエキゾチックDehnツイストに関するものである(Abhishek Mallick氏・谷口正樹氏との共同研究).従来,4次元多様体のエキゾチック微分同相写像は,(Euler数が)比較的大きな4次元多様体上で見つかって来た.我々は,可縮なコンパクト4次元多様体が(相対的な意味で)エキゾチックな微分同相を許容することを初めて示した.そのような例は,Seifert 3次元多様体に沿ったエキゾチックDehnツイストとして得られる.Seifert 3次元多様体は自然なS^1作用を許容するが,これを用いてDehnツイストの類似を考えることができる.既にKronheimerとMrowkaが,S^3に沿ったDehnツイストがある4次元多様体に対してエキゾチックとなることを示していた.我々は,S^3以外のSeifert 3次元多様体に沿ったDehn twistがエキゾチックな微分同相の例を与えることを初めて示した.証明には族のSeiberg-Witten理論を用いる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一の成果は4次元の特殊性を新たな角度から抉り出すもので,4次元多様体の微分同相群に対する基本的な事実となると考えている.第二の成果の内,特に可縮な4次元多様体上のエキゾチックDehnツイストは,境界付き4次元多様体のエキゾチック微分同相写像として興味深いものである. 一方,境界付き4次元多様体の族であって境界への制限が非自明な族となる場合の研究について,以前から執筆を進めている論文は年度内に完成しなかった.
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今後の研究の推進方策 |
境界付き4次元多様体の族であって境界への制限が非自明な族となる場合の研究について,論文執筆を進めていく予定である.
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