研究課題/領域番号 |
21K13801
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池 祐一 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (50850400)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 超局所層理論 / 位相的データ解析 / パーシステンス加群 / 層量子化 / インターリービング距離 / シンプレクティック幾何学 |
研究開始時の研究の概要 |
シンプレクティック幾何学とパーシステントホモロジー理論は層理論との関わりが近年発見され,様々な定理が再証明・再解釈されている.本研究では層を方向別に解析できる超局所層理論と呼ばれる手法を用いて従来のシンプレクティック幾何学や位相的データ解析を超える枠組みを構築することを目指す.特に,特異性のあるラグランジアン間のエネルギー的距離・多次元パーシステント加群の理論・層係数のモース複体といった対象について超局所層理論の視点から調べる予定である.
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研究実績の概要 |
今年度も,超局所層理論を用いたアプローチでシンプレクティック幾何学の研究を行った. まず,昨年度証明した層の圏におけるインターリービング的距離の完備性に関連した話題について調べた.余接束のコンパクト完全ラグランジュ部分多様体の完備化の元に対して,上記の完備性を通して層量子化が定義されている(Guillermou--Viterbo).一方で,そのような完備化の元に対してγ-supportという余接束内の部分集合がViterboによって導入された.そこで,浅野氏・Guillermou氏・Humiliere氏・Viterbo氏と共同で,層量子化の(簡約)マイクロ台がγ-supportと一致することを証明した. 次に,以前の浅野氏との共同研究で得られた層のインターリービング距離のハミルトン安定性について,再度詳しく研究を行った.その結果,従来は複雑なインターリービング距離でしか得られていなかった不等式が,より単純な距離でも成立することが明らかになった.また,層をハミルトン変形する際のエネルギーを,ホッファー距離そのものではなくマイクロ台の条件を加味したより小さい量で評価できることも示した. さらに,桑垣氏と共同で,余接束に関するNovikov環上の超局所圏の構成に取り組み,この圏において完全とは限らないラグランジュ部分多様体の層量子化の理論を構築した.また,この超局所圏が,分離性定理・交叉点評価・インターリービング距離のハミルトン安定性・距離の完備性といった性質を持つことを確かめた. そのほかに,層係数の離散モース理論についても研究を行った.従来仮定されていた構造射の可逆性を取り外すと,層のマイクロ台および超局所茎的なものが自然に現れ,それを加味することで従来の結果を拡張できることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
層のマイクロ台とγ-supportの関係が明らかになったことは,ラグランジアンの完備化の空間を調べるにあたって基本的な道具になると予想される.また,ハミルトン安定性が従来より単純なもので成立することを示せたのは,本研究分野において基礎的な貢献であると考えられる.さらに,Novikov環上の超局所圏は,今後本分野の理論が展開される舞台になることが期待される.
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今後の研究の推進方策 |
シンプレクティック幾何におけるheavyといった概念を超局所層理論から研究する予定である.また,余接束以外の開シンプレクティック多様体に対して超局所圏を定義することを試みる.さらに離散的な層係数のモース複体についてより詳しく調べ,多様体上の層にどのように翻訳できるかを検討する.
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