研究課題/領域番号 |
21K13814
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
高橋 悠樹 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (70897769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | Lyapunov exponent / random matrix products / uniform hyperbolicity / Quasiperiodic cocycle / Furstenberg measure / Bifurcation current / 反復関数系 |
研究開始時の研究の概要 |
量子ホール効果の研究に現れる、Almost Mathieu operator と呼ばれる重要な方程式が存在する。今日ではこの方程式のスペクトルはカントル集合となることが知られている。この問題の一般化について研究したい。すなわち、遥かに一般化された条件の元で、スペクトルに対応する量がいかなるときにカントル集合になるか、またどのような性質をもつカントル集合になるか、ということを解明したい。
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研究実績の概要 |
行列式が1の2×2行列が有限個与えられたとする(この組を F とかく)。このとき、これらの行列をランダムに掛け合わせることを考える。このとき、この積がどの程度のスピードで増加するかを測る量として、Lyapunov exponent と呼ばれるものが知られている。たとえば、F が x 軸方向に 2 倍、y 軸方向に 1/2 倍するような行列のみからなる場合、 対応する Lyapunov exponent は log 2 となる。また、F が回転行列のみからなる場合には、Lyapunov exponent は 0 となる。 行列の組 F が uniform hyperbolic であるとは、F から任意に n 個の行列を選び掛け合わせたとき、その積が exponential に増加することをいう。F が uniformly hyperbolic であるときには、F はある種の「安定性」を持つことが知られている。 2022年度には、1パラメーターに依存する行列の組に関する問題を考察した。このとき、Lyapunov exponent は subharmoic な関数になる。行列の組がパラメーターに関し monotonic であるとき、行列の組が uniformly hyperbolic であることと、Lyapunov exponent が harmonic であることが同値であることを示した。また、Thouless formula と呼ばれる、Lyapunov exponent と rotation number に関する関係式についても考察し、これの拡張を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1パラメーターに依存する Furstenberg measure の絶対連続性の問題は、2021 の "Invariant measures for Iterated Function Systems with inverses" の論文で部分的に解決している。この論文で与えた例の transversality condition を示すことができれば、事実上の解決となる(この問題は学生に与えることを考えている)。現在は、非常に関連性の深い別の問題について考察している。
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今後の研究の推進方策 |
興味があるのは、もとの行列の組が symmetric である場合であるが、おそらくこれは非常に難しい問題であると考えている。これからは、行列の組が inverse を持つ場合に、この組がある種の安定性をもつことと uniformly hyperblic であることが同値である、という定理の拡張を考えたい。
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