研究課題/領域番号 |
21K13816
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
篠田 万穂 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (50880077)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 記号力学系 / エルゴード理論 / エルゴード最適化 / 熱力学形式 / 最大化測度 |
研究開始時の研究の概要 |
平衡測度と呼ばれる一般に「カオス的」振る舞いを記述する測度と最大化測度と呼ばれる一般に「秩序的」振る舞いを記述する測度の関係を調べる.平衡測度と最大化測度は逆温度パラメータで関連づけられ、特に有限温度で平衡測度が最大化測度に一致する現象をFreezing phase transition という.本研究ではFreezing phase transition について知られている結果を高次元に拡張し、そのメカニズムの解明を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,二次元記号力学系において準周期的な力学系と関連した相転移の具体例を構成することを通じて,そのメカニズムを明らかにすることである.当該年度では,相空間がコンパクトとは限らない力学系に対する最大化測度の存在についての条件を従来知られているものよりも緩和することができた.本研究で扱う二次元記号力学系は相空間がコンパクトなものに限るが,先述の最大化測度の存在を示す過程において身につけた手法は本研究の進展に有用であると考えられる.また,区分的に拡大的な区間上の力学系のあるクラスに対して,明記性 と呼ばれる良い複雑性を持つパラメータのハウスドルフ次元が1であるという結果も得ることができた. 明記性 は平衡測度の一意性(相転移の非存在)を示すときに重要な力学系の性質であり,その性質がどの程度多くの力学系に対して満たされるのかを調べることは重要である.当該研究で扱った区分的に拡大的な区間上の力学系は先行研究で扱われていたクラスの拡張であり,期待されていた結果に対して証明を与えたことは重要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では産休を取得し,研究に従事できない期間が生じたため,少しの遅れが生じている.一方で,上記でも述べた通り,最大化測度の存在や明記性に関する重要な結果を得ることができたため,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き最大化測度の安定性について研究する.特に,安定性を期待するものとしてHard core モデルと呼ばれる有限型二次元記号力学系に注目し,非安定性を期待するものとして,置換則により定まる2次元の記号力学系を考え,最大化測度の安定性に関する具体例を得ることを目指す. また,制約付きの最大化測度,平衡測度に関する研究も継続し、 不変測度の空間を理解し,相転移現象の体系的な理解につながる着想を得ることを目標とする.
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