研究実績の概要 |
2022年度の研究により, 次の成果 (1) - (3) が得られた. (1) 空間的に非一様な非線形項を持つ半線形放物型方程式である Hardy-Henon 熱方程式に対して, 重み付き Lorentz 空間における符号変化解の無条件一意性を考察し, 解の無条件一意性が成立する最適な条件を示した. これは Hardy 型, Henon 型, 藤田型の既存の結果を内包する一般化である. 得られた結果は査読付き論文雑誌に掲載された. (2) Hardy-Henon 熱方程式に対する重み付き Lorentz 空間における適切性と, 小さな初期値に対する解の漸近挙動を考察した. 小さい初期値が非線形問題における自己相似的な臨界減衰を持つ場合は, 時間大域解は対応する非線形自己相似解に時間無限大で減衰する. 対して, 小さい初期値が臨界減衰より遅い減衰を持つ場合は, 時間大域解は対応する線形自己相似解に漸近する. これらの結果の初期値に対する条件を既存の結果より弱めた. また, 複素数値初期値を考えることで, 以上の漸近挙動をさらに細かく分類することができた. 得られた結果は投稿準備中である. (3) Hardy-Henon 方程式に関する研究において用いた重み付き Lorentz 空間の性質を精査し, いくつかの関数解析的な特徴付けを行うことに成功した. 重み付き Lorentz 空間が Banach function space の枠組みに入ることを示し, その証明を精査することでより一般的な空間に対する幾つかの命題を拡張することに成功した. 得られた結果は現在投稿準備中である.
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で記した (1), (2) いずれにおいても, より問題に適応した関数空間を用いることで初期値の条件の緩和の可能性が見えるため, 今後の研究では既存の研究で判明している初期値の各点的な最適条件に適合する関数空間における問題の適切性を考察する. これにより, スケールに依存しない最適な関数空間を解空間にとることを目指す.
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