研究課題/領域番号 |
21K13822
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東北大学 (2023) 京都大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
谷地村 敏明 東北大学, 数理科学共創社会センター, 助教 (30898797)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 形状最適化問題 / 過剰決定問題 / 自由境界問題 / 複合媒質 / 不完全界面 / 数値計算 / 最適輸送理論 / 楕円型方程式 / 伝送条件 / 固有値問題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では薄膜及び一般のコーティング問題における最適コーティング形状の幾何学的な性質や構造を解析する.特に二相媒質並びにその特異摂動固有値問題(薄膜の場合)に関連した最適コーティング形状の幾何学的性質や構造を解析し,領域や介在物の対称性等の幾何学的形状が最適コーティング形状にどのように遺伝するかということを数学的に明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,複合媒質のコーティングに関連する形状最適化問題の臨界形状を特定する過剰決定問題について考察する.具体的には,複合媒質における最適コーティング形状の幾何学的性質及び構造を解析することを目的とする.昨年度に引き続き,不完全界面を持つ二相媒質における過剰決定問題に焦点を当てた.不完全界面とは,コーティングの界面において解や流量の連続性が成り立たない場合のことをいう.このようなモデルは二相熱伝導体や腐食を伴う電気伝導体などで知られており,物理・工学的にも興味深い.特に本年度は,これまでに提案したKohn-Vogelius汎関数とH^1勾配法を利用した過剰決定問題の数値アルゴリズムにおける境界におけるderivative lossを解決する新たな数値アルゴリズムを検討した.Wentzell境界条件を持つ楕円型方程式系と法線ベクトルの調和拡張を組み合わせることで,この問題を克服するアルゴリズムを開発した. さらに関連する話題として,形状汎関数の三次元可視化にも着手した.この可視化技術により,形状勾配流の臨界点への収束プロセスやそのレートについての洞察が得られる.最も基本的な形状最適化問題である周長最小化問題や人工的な形状最適化問題に対して,Wasserstein距離と古典的尺度構成法を融合させた最適輸送理論に基づくアルゴリズムを考案し,形状汎関数の形状が適切に可視化されていることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はKohn-Vogelius汎関数とH^1勾配法を利用した数値アルゴリズムにおいて,境界でderivative lossが起こる問題を考察し,Wentzell境界条件を持つ楕円型方程式系と法線ベクトルの調和拡張を組み合わせることで,この問題を克服するアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムはその他の自由境界問題に適用可能であり,拡張性の高いものである.本内容を含んだ論文を執筆中である. また,形状汎関数の三次元可視化にも着手し,最も基本的な形状最適化問題である周長最小化問題や人工的な形状最適化問題に対して,Wasserstein距離と古典的尺度構成法を融合させた最適輸送理論に基づく可視化アルゴリズムを考案した.現在こちらの内容も論文執筆中である.以上より,進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの理論的成果の二相固有値問題への拡張について考察する.また,開発したアルゴリズムを他の形状最適化問題並びに自由境界問題に適用可能かについても考察する.さらに,Wasserstein距離と古典的尺度構成法を融合させた最適輸送理論に基づくアルゴリズムによる形状汎関数の3次元可視化の上で,平均曲率流などの形状勾配流がどのような挙動になるかについて考察する.
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